副業・フリーランス人材との契約管理はどうすればいい?業務委託を複数のフリーランス・副業人材に依頼している場合、管理を効率化するには「フリーランスマネジメント」という4つのポイントを押さえることが有効です。業務フローの一元管理(連絡方法や書類フォーマットの統一)プロジェクト管理(誰に何を依頼しているかの可視化)人材評価(スキルや実績の蓄積)リスクマネジメント(下請法・フリーランス新法の遵守)の4つです。これらを支援するツールとして「フリーランスマネジメントシステム(FMS)」も選択肢になります。本記事でわかること外部人材との契約で起きやすい3つの課題業務委託管理を効率化する4つのポイント2024年11月施行のフリーランス新法が管理実務に与える影響FMSの概要と、自社に合うかを判断する3つの観点業務委託の管理がうまくいかない3つの課題複数のフリーランス・副業人材に業務を委託している企業では、社員のマネジメントとは異なる管理課題が必ず発生します。発注書や請求書などの書類管理が煩雑になる、誰に何を依頼しているか社内で把握しきれなくなる、といった課題は活用が進むほど深刻化します。代表的な3つの課題を整理してみましょう。【課題1】コミュニケーション:人材それぞれで連絡方法が異なる外部の人材との仕事でこそ起きやすいかもしれませんが、連絡方法が多岐にわたってしまったり、連絡タイミングが属人化することで連携が難しくなるケースです。SlackやChatwork、メール、LINEなど人材によってツールがバラバラだと、担当者の負担が増え、本来の業務時間が削られていきます。【課題2】契約管理・事務処理:必要な各種書類のフォーマットが異なる人材側に全て任せてしまうと、業務報告や請求書などの書類フォーマットがバラバラで取りまとめるのに手間がかかってしまうケースです。外部人材が数人のうちは目立ちませんが、10人を超えてくると経理処理の遅延や請求漏れが発生し始め、信頼性にも影響します。【課題3】マネジメント:誰に・何の業務を・どう委託しているかが煩雑部門やプロジェクトごとに個別に発注している企業では、社内で「誰に何を依頼しているか」が見えなくなりがちです。結果、同じ人材に重複して依頼が入ったり、稼働状況がわからないまま追加発注して品質が落ちたりといった問題が起こります。各人材のプロジェクト参画状況を全社で可視化することが解消の第一歩です。これら3つの課題は個別の努力では解決しません。「業務委託の管理」を仕組みとして設計し直すことが必要です。次章でその基本的な考え方を解説します。【関連記事】「個人事業主と業務委託契約を結ぶ前に|法人発注との違い・偽装請負・契約書チェックリスト」「業務委託で起こりやすいトラブル事例10選|原因と防ぐための7つの対策」業務委託の管理を効率化するフレームワーク:フリーランスマネジメントとは業務委託の管理を体系化する考え方が「フリーランスマネジメント」です。フリーランスや副業人材といった外部パートナーとの契約・発注・進捗管理・評価までを、企業側が一貫したフレームワークで運用することを指します。日本でも2020年代に入りフリーランス活用が拡大し、政府の「フリーランス新法」施行(2024年11月)によって、企業側の管理責任が法的に明確化されました。これにより、属人的・場当たり的な管理では立ち行かなくなり、フリーランスマネジメントは「あったらいい考え方」から「必須の業務インフラ」へと位置づけが変わっています。具体的には、業務フローの一元管理プロジェクト管理人材評価リスクマネジメントという4つのポイントをおさえることによって、業務連携を効率化し、発注・請求などの事務手続きにおけるトラブル防止や管理の工数削減につなげることができます。業務委託の管理を支える4つのポイントポイント1:業務フローの一元管理発注のやりとり、タスクの進行管理、請求書の発行・支払いなど、外部人材との取引で発生する一連の業務フローを統合管理することを指します。発注相手の人材やその案件によって、フォーマットやツールが異なったり書類有無の確認が必要だったりすると、全体として大きな管理コストになりかねません。複数の外部人材とやりとりを行う上では、コミュニケーションツールを絞ったり必要な書類を統一したりすることで、業務連携の効率改善につなげることができるでしょう。【最小限のアクション】まず連絡ツールを1〜2種類に統一し、発注書・請求書のテンプレートを社内で1パターンに揃えるだけでも、管理工数を大きく削減できます。ポイント2:プロジェクト管理企業内の関係担当者間で「誰にどのような発注をしているか」という外部人材が関わるプロジェクト状況を可視化・情報共有することを指します。どのプロジェクトにどのくらいの期間参画するのかといった基本的な情報から、プロジェクト内でどのような業務を担当し、進行状況はどのようになっているのかという詳細な情報までを社内のメンバーが確認できるようにします。これにより、他チームからの依頼が重複してしまったり、同じ人材の仕事量が増えすぎてしまうなどといった問題を未然に防ぐことができます。【最小限のアクション】部門横断で参照できる業務委託リスト(人材名/案件/期間/稼働率/担当部署)を1つ用意するだけで、依頼の重複や稼働超過を防げます。ポイント3:人材評価タレントマネジメントとも言われ、外部人材の業務における評価を蓄積することを指します。一人ひとりの経歴やスキルセットはもちろん、参画したプロジェクトの情報やそこでの評価をまとめて管理することにより、報酬支払いだけではなく、別業務の委託を検討する際にも有効に活用することができます。【最小限のアクション】案件終了時に「次回も依頼したいか」「改善してほしい点」を5段階+フリーコメントで記録する仕組みを作るだけで、属人化していた評価情報が組織知になります。ポイント4:リスクマネジメント「下請法」と「フリーランス新法」(2024年11月施行)の遵守が中心です。書面の交付、支払期日(フリーランス新法では60日以内)、途中解約時の事前予告など、企業側に明確な義務が課されています。違反は行政指導や勧告の対象となり、企業の信用に影響します。属人的な対応ではなく、契約から支払いまでを「ルール化」「仕組み化」しておく必要があります。【最小限のアクション】フリーランス新法対応のチェックリストを作成し、新規発注時に必ず確認する運用を社内で定着させましょう。詳細は別記事「フリーランス新法とは|2024年11月施行、企業に課された7つの義務と罰則を解説」をご参照ください。【関連記事】「業務委託の偽装請負とは|判断基準と契約書・運用で防ぐ7つのポイント」【2024年法改正対応】フリーランス新法が業務委託管理に与える影響2024年11月1日に施行された「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(通称:フリーランス新法)は、業務委託の管理実務に大きな影響を与えています。従来の下請法ではカバーされていなかった範囲のフリーランス取引にも、企業側の義務が広がりました。管理実務に直結する代表的な3つの義務をご紹介します。義務1:取引条件の明示義務業務内容、報酬額、支払期日、納期などを書面または電磁的方法で明示する必要があります。口頭での発注や「いつも通り」で済ませる慣行は、新法施行後はリスクとなります。義務2:支払期日60日以内の遵守成果物の受領日から起算して60日以内の支払期日設定が義務化されました。月末締め翌々月末払いなど、従来は問題なかった支払サイクルが違反になるケースがあります。義務3:中途解約・更新拒絶時の30日前予告6カ月以上継続する業務委託契約の中途解約や更新拒絶には、原則として30日前までの予告が必要です。「来月から契約終了で」といった急な打ち切りは違反となります。これらの義務は、外部人材を1人でも継続的に活用している企業であれば全てが対象です。Excelやメールベースの管理では履歴の追跡が困難なため、FMS(フリーランスマネジメントシステム)の活用や、管理体制を専門家と一緒に構築する選択肢が有効です。【関連記事】義務の詳細は、別記事「フリーランス新法とは|2024年11月施行、企業に課された7つの義務と罰則」で解説しています。業務委託の契約管理を支援するフリーランスマネジメントシステム(FMS)前章で整理した4つのポイントを、システムで一気通貫に支援するのが「フリーランスマネジメントシステム(FMS)」です。FMSとは、企業がフリーランス・副業人材との契約・発注・進捗・評価・報酬支払までの一連の業務を、システム上で一元管理するためのツールです。フリーランス新法やインボイス制度への自動対応機能を備えた製品も増えており、コンプライアンスリスクを下げる効果も期待できます。FMSは大きく3つのタイプに分かれます。契約・請求管理特化型契約書・発注書・請求書の作成と保管を中心に効率化(例:freee業務委託管理、Lansmart by SmartHR)プロジェクト管理特化型タスクや進捗、稼働状況の可視化を中心に支援(例:Asana等のタスク管理ツール活用型)統合型/マッチング機能付き人材探索から契約・管理までをワンストップで提供(例:マッチングプラットフォーム連動型)なお、2025年7月にマイナビが旧『スキイキ』を含む4サービスを統合して立ち上げた「マイナビProfessional」では、6万人超のプロ人材データベースから即戦力人材を探せるマッチング機能に加え、契約・発注・報酬支払までの業務フローをサポートする機能を備えています。「人材を見つけるところから管理まで」を1つのサービスで完結できる点が、独立系のFMSプロダクトとは異なる特徴です。フリーランスマネジメントシステム(FMS)導入を判断する3つの観点FMSは数十製品が市場に出回っており、自社に合うかどうかを見極める観点を持って臨むことが大切です。導入を判断する代表的な3つの観点をご紹介します。観点1:自社のフリーランス活用規模継続的に取引するフリーランス・副業人材が5名以下であれば、FMSを入れる前に運用ルールの整備で対応できる場合もあります。10名を超え始めると、Excel管理では限界が来るためFMS導入のメリットが大きくなります。観点2:フリーランス新法・インボイス制度への対応度支払期日60日以内のアラート、取引条件明示書の自動生成、適格請求書の判定など、法令対応がシステム側で自動化されているかは重要な選定基準です。違反リスクを大幅に下げられます。観点3:既存業務システムとの連携会計ソフト、電子契約サービス、Slack/Chatworkなどの社内ツールとAPI連携できるかを確認しましょう。連携できないFMSを導入すると、二重入力が発生し、効率化どころか負担が増える可能性があります。「どのFMSを選ぶか」よりも、「自社のどの業務を、どの程度自動化したいか」を先に整理することが、選定失敗を防ぐ最大のコツです。管理体制をプロ人材と一緒に構築するという選択肢副業・フリーランス人材との契約管理をスムーズに行うには、業務フローの一元管理やプロジェクトの可視化、下請法・フリーランス新法対応などの仕組みづくりが欠かせません。しかし、「フリーランスマネジメントの知見を持つ人材が社内にいない」「契約管理の仕組みを整備する専任担当を置く余裕がない」といった壁に直面している企業も多いはずです。そんなときこそ、外部人材の管理体制構築に精通したプロ人材の活用が有効です。業務委託の契約フロー設計や、下請法・フリーランス新法に準拠した運用ルールの整備、管理ツールの選定・導入まで、社内にないノウハウを持ち込みながら仕組みづくりを推進できます。まとめ:業務委託管理は「仕組み」と「人」の両輪で実現する外部人材を活用する企業はさらに増えていきます。フリーランス新法の施行により、契約管理は「あったらいい仕組み」から「必須の業務インフラ」に変わりました。業務委託の管理を効率化するには、フリーランスマネジメントの4つのポイント(業務フロー一元管理/プロジェクト管理/人材評価/リスクマネジメント)を押さえ、自社の規模に応じてFMSや支援サービスを組み合わせることが鍵となります。そして、「仕組み(ツール・ルール)」を入れるだけでは管理体制は回りません。設計と運用定着を担う「人(プロ人材)」と組み合わせることで、はじめて業務委託の管理は持続的なものになります。両輪を意識して、自社にとってのベストな組み合わせを見つけてください。マイナビProfessionalのご紹介「外部人材との連絡方法がバラバラで管理が煩雑」「誰に何を委託しているか社内で把握できていない」「フリーランス新法対応に不安がある」——そんな契約管理の課題を感じていませんか?マイナビProfessionalは、業務委託の管理体制構築やフリーランスマネジメントの仕組みづくりに精通したプロ人材が、戦略設計から実務の推進まで伴走支援するサービスです。6万人超のプロ人材データベースから、契約管理・バックオフィス領域に強い即戦力人材を最短3週間でアサイン。マイナビの専任チームが人材選定から稼働後のマネジメントまでサポートするため、外部人材活用が初めての企業でも安心して導入いただけます。「まずは現状の契約管理フローを整理したい」という段階でも構いません。外部人材活用の支援事例をまとめた資料をご用意していますので、まずはサービス資料をご覧いただき、お気軽にご相談ください。