DXを成功させる組織づくりはどう進めればいい?DX推進には、既存の部門を超えた専任チームの編成が有効です。チーム編成には「IT部門主体型」「事業部門主導型」「独立専任チーム型」の3パターンがあり、自社の状況に応じて選択します。チームには目標・ロードマップの共有、既存システムの切り分け判断、プロジェクト管理という3つの役割があります。成功のポイントは、IT人材の確保・育成、目的の明確化と全社共有、会社全体での協力体制づくりです。社内で人材確保が難しい場合は、外部コンサルや専門人材の活用も検討しましょう。そもそもDXとは何か、基礎から理解したい方はDXの基本と人材のポイントを解説した記事もあわせてご覧ください。本記事でわかることDX推進が求められる4つの背景DX推進チームの3つの編成パターン専任チームが担う3つの役割組織改革を成功させる5つのポイント外部人材を活用する方法DX推進が必要とされた背景DXが必要とされる背景には、複雑化・ブラックボックス化しながらも長年利用され続けている老朽化した社内システムの存在があります。このようなシステムは企業の競争力強化の阻害要因になり兼ねないとして、経済産業省が警鐘を鳴らしています。背景1:「2025年の崖」問題2018年に経済産業省が発行した「DXレポート」では、老朽化・肥大化した既存システムを使い続けるとDXが実現できなくなるだけではなく、2025年以降は毎年最大12兆円もの経済損失が生じると試算しています。これを「2025年の崖」と呼んでいます。DXレポート 〜ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開〜https://www.meti.go.jp/shingikai/monoinfoservice/digitaltransformation/pdf/2018090701.pdf背景2:既存システムの老朽化「2025年の崖」問題が映し出すのは、老朽化した既存システムをいわゆる「塩漬け」のまま使い続けざるを得ないという根深い課題です。DXレポートでは、老朽化した既存システムを刷新できない理由として以下の要因を挙げています。既存システムが事業部門別に構築されている過剰なカスタマイズなどで複雑化・ブラックボックス化しているまた、老朽化したシステムを使い続けることで次のような問題も顕在化しています。全社横断的なデータ活用が容易にできない既存システムや現業務を変更するのは負担が大きいため、変革について現場サイドからの抵抗が大きい背景3:SAP「2027年問題」SAP「2027年問題」も、長年使い続けている既存システムが生み出す問題として浮上しています。 この問題は、広く企業で利用されてきたSAP社のERP(企業資源計画)ソフトウェアが2027年に保守サポートを終了することに起因しています。SAP社にとっては自社の後継ソリューション「SAP S/4 HANA」への移行を促す戦略ですが、利用する企業にとっては基幹業務を支えるシステムの変更となるため、大きな決断を迫られます。他社のERPソリューションに切り替えるのか、SAPの後継ソリューションに移行するのか、いずれにせよ大掛かりな移行作業に取り組まなければなりません。背景4:デジタル化社会スマホやタブレットなどのモバイル端末は、いまや生活に欠かせないものとなりました。また、リモートワークの拡大でネットワークやシステム環境の整備も急速に発達しています。企業では膨大なデータを自社商品やサービスのPRなどに活用する動きが広がっていました。こうしたデジタル化社会の広がりも、DX推進の背景として欠かせない要素の一つです。DX推進の目的や成功のポイントをさらに詳しく知りたい方は、DX推進の意味や目的とは?課題や成功ポイントについても解説をご参照ください。」DX推進のために組織改革をおこなう重要性DX推進は全社横断的な取り組みとなるため、既存の枠組みでは進みにくいケースも考えられます。DXを成功させるためには、社内で専任のチームを編成することが有効です。そして、そのチームに改革に必要な権限を付与することで、次のような効果が期待できます。目標が明確になり社内に周知しやすい組織のしがらみにとらわれない、抜本的な改革が行える組織を超えたノウハウやナレッジの共有がスムーズになるDX推進のための組織編成は3種類DX推進を図るチーム編成には主に3つのパターンがあります。それぞれの特徴や留意点を見ていきましょう。組織編成1:IT部門主体型「IT部門主体型」は、現在のIT部門に各事業部門から集めたメンバーを加えチームを編成するパターンです。DX推進には最新のIT知識が不可欠であるため、比較的よく採用されます。ただし、IT部門の担当者は通常業務と兼務になるため、DX推進に集中することが難しくなります。DX推進は全社的な業務改革を目指す活動のため、IT部門だけではなくさまざまな業務知識を持つメンバーを参画させることが重要なポイントとなります。組織編成2:事業部門主導型「事業部門主導型」は、改革の対象となる業務のメンバーが主導するチーム編成です。部門に特化することでスピーディーな改革を目指しやすくなりますが、部門の個別最適に陥らないように留意する必要があります。最新のITスキルを持ったメンバーの参画も必須となります。組織編成3:独立専任チーム型「独立専任チーム型」は、既存組織から独立したDX推進の専任メンバーで編成されるチームです。DX推進に必要となる役割やスキルを定義したうえで、各部門や外部からメンバーを集めて編成します。現業務と兼務するメンバーで編成した場合はどうしても現業務が優先されてしまい、チームの動きが停滞する恐れがありますが、一定期間集中して専任チームを設けることで、DX推進による業務改革・経営改革の成功に近づくでしょう。一方、適任者の見極めと確保は重要な課題となります。DX推進チームの主な役割DX推進チームの役割には主に以下の3つがあります。役割1:目指す将来像とロードマップの共有まずDX推進の目的や、成功によって得られる企業の将来像を明らかにすることが重要です。業務がどのように変化し、どのようなメリットを享受できるのか、ロードマップを描いて関係者に周知することで、DX推進を受け入れる土壌づくりをします。役割2:既存システム継続・再構築・新規開発領域の切り分けDX推進の難しさの一つに、既存システムの切り分けや連携が挙げられます。既存システムがブラックボックス化している場合は、業務を可視化することから手をつける必要があるでしょう。負担が甚大になる場合は、思い切ってシステムを刷新するという判断も必要になるかもしれません。役割3:DX推進計画立案とプロジェクト管理DX推進の方向性が定まったら、チームはプロジェクト管理の役割全般を担います。計画立案後は進捗管理、工数・コスト管理、課題管理、リスク管理などを行い、目標に向けた道筋を整えます。DX推進は全社レベルの業務改革となるため、システム面でのプロジェクト管理だけでなく、業務面での移行計画も盛り込んでおくことが大切です。組織改革するためのポイント組織改革をするためには、DX推進に向けた専任チームを編成することが重要です。 ここでは、組織改革するためのポイントを5つご紹介します。ポイント1:IT人材の確保と育成DX推進のための業務改革とシステム構築にあたっては、人材の確保が急務となります。まずは適任者を社内で探し、専任の可否や現業務との調整をしなければなりません。チーム編成時には、DX推進に向けた長期的な人材育成の視点も盛り込みたいところです。長期的な人材育成の視点を深めたい方は、人材育成の課題と目的を解説した記事もご参考ください。ポイント2:既存システムの活用・切り分けが可能な人材の確保DX推進のキーポイントの一つは、既存のまま運用するシステムと新規開発するシステムの切り分けができる人材の確保です。既存システムと新規システムの連携は難易度の高い課題であり、場合によっては過去に開発したメンバーを呼び戻したり、外部から人材を調達して現状調査から始めたりすることが必要になるかもしれません。既存システムを廃棄する場合も、現業務への影響を慎重に見極められる人材が求められます。ポイント3:目的の明確化と共有DX推進は全社に影響をおよぼす活動です。円滑な推進のためには、変革の目的を明確にし、社内で共有することが重要となります。専任チームのメンバーはまず、この内容を深く理解することが重要です。社内全体にDX化を行う目的を周知するための施策を進めていく必要があります。ポイント4:会社全体での協力体制、環境作りDX推進はチームだけの取り組みでは成功しません。組織を超えて改革に取り組む雰囲気を醸成するために、関係部門を中心に全社を挙げた環境づくりが重要となります。組織設計やチームの適正人数の考え方については、ミッションを達成するには、"適切な組織設計"が肝心?で詳しく解説しています。ポイント5:外部コンサルの活用DX推進において社内で有効な人材の確保が難しい場合は、DX領域を得意とする外部のコンサルタントを活用しましょう。DXに向けたチーム編成の部分から相談できる外部コンサルもあります。しかしその場合も、キーとなる役割には自社の適任者を割り当てるなど、要所を押さえたチーム編成を考える必要があります。外部コンサルの活用を検討されている方は、DXコンサルティングの役割と導入メリットを解説した記事もあわせてご確認ください。DX推進に必要な人材を揃えるには?DX推進の成功のためには専任チームの編成が有効ですが、社内だけで人材を揃えるのは難しいケースも少なくありません。社外からDX推進の専門家や経験者を求める場合は、プロジェクトリードの経験や現状分析力、最新のITスキルなど、どのような領域のスキルや経験が必要なのかを明確にしたうえで探す必要があります。最近では、企業と多様なスキルを持つ人材とのマッチングを行うサービスもあります。自社の現状や課題のヒアリングから参画し、DX化に向けたロードマップを描くことができる人材を外部から調達している事例も増えています。社外からプロ人材を活用する意義については、VUCA時代を生き抜くには"人材自前主義"からの脱却が重要?で詳しく解説しています。まとめ「2025年の崖問題」やSAP「2027年問題」が迫るいまこそ、老朽化する既存システムを改革させ、DX推進への一歩を踏み出す最後のチャンスです。しかし、社内で適任者が見当たらず改革の方法が見出だせない企業も少なくありません。もし、DX推進を成功させる組織づくりやチーム編成でお困りの場合は、マイナビ顧問へご相談ください。マイナビ顧問は、経営ノウハウや課題解決に長けたプロフェッショナルをご紹介し、貴社のDX推進をご支援いたします。DX推進の組織づくりに、プロ人材という選択肢DXを成功させるには、全社横断的な専任チームの編成と、IT・業務両面の知見を持つ人材の確保が不可欠です。しかし、「既存システムの切り分け判断ができる人材がいない」「DX推進の経験者を専任で配置する余裕がない」といった壁に直面する企業は少なくありません。こうした課題に対し、DX推進の実績を持つプロ人材の活用が有効です。たとえば、ロードマップ策定の壁打ち相手として、あるいは既存システムの可視化・再構築を主導する実行リソースとして、社内にない専門性を補完できます。プロ人材と協働する過程で、DX推進のノウハウを社内に蓄積し、将来的な内製化につなげることも可能です。週1回の稼働から、まずは特定領域の課題整理だけ任せる形でも始められます。マイナビProfessionalのご紹介「DX推進の専任チームを編成したいが、適任者が社内に見当たらない」「既存システムの切り分けや全社展開を任せられる人材がいない」——そんな課題を感じている方も多いのではないでしょうか。マイナビProfessionalは、DX推進に必要な「専門性」と「実行力」を持つプロ人材が、戦略立案から現場での実務まで一気通貫で支援するサービスです。6万人超のデータベースから、既存システムの可視化・再構築経験者やプロジェクトマネジメントのプロなど、貴社の課題にフィットする人材を最短3週間でご紹介。マイナビの専任チームが伴走し、プロジェクトの停滞やミスマッチを防ぎます。DX推進の組織づくりや人材確保でお悩みでしたら、まずはサービス資料をご覧いただき、お気軽にご相談ください。課題が整理できていない段階からでも、ヒアリングを通じて最適な支援体制をご提案いたします。