企業がダイバーシティを推進するには何から始めればいい?ダイバーシティ推進は、勤務体系の整備・社内の意識改革・評価制度の見直しの3つが柱です。まず時短勤務やテレワーク、フレックスタイム制など多様な働き方を受け入れる土壌を整えます。次に、従業員への社内教育を通じて「違いを受け入れ合う」意識を浸透させます。そのうえで、どのような働き方でも公平に評価できる制度を導入することが重要です。急激な変化は既存従業員の戸惑いを招くため、経営層と現場の認識ギャップを生まないよう段階的に進めましょう。本記事でわかることダイバーシティ経営の定義と背景推進による3つのメリット取り組み時に生じる課題推進を成功させる3つのポイント性的マイノリティ対応の具体的事例ダイバーシティとはダイバーシティとは「多様性」を意味する言葉です。企業においては、年齢や性別、国籍、学歴、特性、趣味嗜好、宗教などの違いにとらわれず、あらゆる人材の能力を経営に活かそうとする動きを指します。ダイバーシティを推進することは、「一人ひとり違って当たり前であり、その違いを否定することなく受け入れ合おう」という職場風土の醸成につながります。ダイバーシティ経営の定義経済産業省が定める「ダイバーシティ経営」の定義は、「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」とされています。従業員がそれぞれの特性を惜しみなく発揮し、生き生きと働き続けられる職場環境の実現を目指すものです。それにより製品やサービスに革新がもたらされ、企業の競争力強化が期待できます。ダイバーシティと合わせて理解しておきたい『インクルージョン』については、ダイバーシティ&インクルージョンとは?それぞれの意味や取り組み方を解説で詳しく解説しています。経済産業省が行っている取り組みダイバーシティ経営を推進する経済産業省では以下のような取り組みを実施しています。[1]新・ダイバーシティ経営企業100選ダイバーシティ経営を推進し、成果をあげている企業を選定し表彰※令和2年度をもって終了なでしこ銘柄女性活躍推進につながる優れた取り組みを実施する上場企業を選定し公開※東京証券取引所と共同で実施ダイバーシティ2.0ダイバーシティ実践における方向性を明示した行動ガイドラインを策定ダイバーシティが注目されるようになった背景ダイバーシティという言葉やその取り組みが今日のように注目されることになった背景には何があるのでしょうか。3つの理由を解説します。背景1:雇用意識・働き方の変化ダイバーシティが注目されるようになった大きなきっかけには、雇用に対する意識や働き方の変化が挙げられます。近年、副業や復業、フリーランスなど、一つの企業に縛られない働き方や家庭・趣味などプライベートを大切にするワークライフバランスの考え方が浸透してきました。「終身雇用制度で定年まで勤め上げる」というキャリアが当たり前ではなくなり、企業が労働者から選ばれる立場となったことで、ダイバーシティの概念は無視できないものとなりました。背景2:労働力人口の減少による人手不足15歳以上かつ就業者と完全失業者を合わせた「労働力人口」の減少により人手不足が加速したことも、ダイバーシティが注目される背景にあります。総務省の調査によると、令和3年時点の労働力人口は前年比で8万人減少しています。2年連続の減少で、この流れが続けば慢性的な人手不足は避けられない状況です。労働力人口の中には休職者や完全失業者も含まれていることから、これらの人材を囲い込むためにも、ダイバーシティの推進が不可欠です。背景3:女性や中高年の活躍を推進する動き労働力人口が減少する日本の企業活動を支えるためには、育児中の女性や定年を迎えた高齢者の安定的な雇用を実現することが重要です。日本では長きにわたり、女性は結婚や出産のライフステージの変化によってキャリアの継続を諦めざるを得ない社会構造がありました。しかし近年では、女性の長期的なキャリア構築を支援するため、育児休暇制度などの公的支援も拡大されています。中高年も従来は60歳の定年で引退するのが当たり前でしたが、近年は働く意欲を持つ人材を積極的に再雇用する企業も増えています。女性活躍推進の具体的な取り組みや課題については、女性活躍推進とダイバーシティの関係性とは?で詳しく解説しています。企業におけるダイバーシティを推進させるメリット企業にとって、ダイバーシティを推進することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。主な3つのメリットを挙げていきます。メリット1:企業価値を高めることができるあらゆるシーンで多様性が叫ばれる現代において企業活動にダイバーシティの概念を積極的に取り入れることは既存の従業員に安心感や期待感をもたらします。また、ステークホルダーなど社外に対して柔軟な企業であることのアピールにもつながります。メリット2:人材の確保につながるダイバーシティの推進は、人材確保において効果的なアプローチになります。経済産業省による令和2年の調査によると、ダイバーシティの推進によって得られた恩恵の第1位は「人材の獲得」であることがわかっています。[2]優秀な人材を長期的に獲得するためには、さまざまなキャリアやライフスタイルのビジョンを描く人材を受け入れられる企業風土の醸成が重要です。メリット3:新しいアイデアが生み出せるダイバーシティの推進により、新たなアイデアの創出が期待できます。従来の組織は似通った価値観や思想、経験を持つ人材の集まりとなるケースが多く、発想も一辺倒になりがちでした。しかし、ダイバーシティの推進により多彩な人材が集結すれば、いままでにない着眼点から新たなアイデアの創出が見込めます。ダイバーシティ推進の課題ダイバーシティを推進する際には、それによって生じる課題にも目を向けなければなりません。一つ目は、密なコミュニケーションの必要性が高まる点です。多種多様な人材が集まるということは、それぞれが持つ価値観や思想も大きく異なる可能性があります。互いの主張に耳を傾け、受け入れ合ったり譲り合ったりする姿勢を自然に促す職場風土づくりが重要です。定例ミーティングで定期的なコミュニケーションの場を設けたり、オフィスレイアウトを工夫して自然発生的なコミュニケーションを増やしたりする取り組みが必要です。また、ダイバーシティを推進するためには従業員の意識を改革することが大前提となります。人の思考や感情に関わる改革は一朝一夕ではいかず、会社側の想定通りに進まない部分もあるため、工夫が必要となるでしょう。ダイバーシティ推進に取り組むためのポイント効果的にダイバーシティを推進するにあたっては、いくつか押さえるべきポイントがあります。以下の3つを踏まえたうえで具体的なダイバーシティ推進に取り組んでいきましょう。ポイント1:勤務体系や雇用形態の整備ダイバーシティの推進においては、まず多様性を受け入れる土壌を整えることが必要です。ワークライフバランスを保てる時短勤務、柔軟な働き方を実現するテレワークやフレックスタイム制の導入、キャリアの挑戦をサポートする副業支援規定の策定などが挙げられます。また、雇用形態によって優越をつける風潮をなくし、個人が能力を最大限に発揮できる働き方を提供することが求められます。雇用形態の見直しを検討している方は、ジョブ型雇用のメリットとメンバーシップ型との違いもあわせてご確認ください。ポイント2:社内全体の意識改革を行うダイバーシティ推進の当事者となる従業員の理解がないと、従業員同士の差別やハラスメントが生まれかねません。したがって、ダイバーシティに関する社内教育は欠かせないものです。ダイバーシティを推進する目的や、対応するための会社の変化、従業員への影響などを共有し、具体的なイメージを持てる材料を社内で共有しましょう。従業員の意識改革を進める際のポイントについては、人材育成で陥りやすい3つの課題と取り組む際のポイントも参考になります。ポイント3:新たな評価制度の整備・導入ダイバーシティの推進によりさまざまな境遇の人材を受け入れるためには、それぞれに対応可能な社内ルールの整備が必要です。現状、多くの会社では「1日8時間オフィスに出勤して働く」といった就業規定のもとで働き方が定められていますが、どのような働き方でも平等に人材を評価できる環境を整備しなければなりません。評価制度の具体的な設計方法については、人事評価制度の見直しで離職率低下へ!設計方法や成功・失敗事例を紹介で詳しく解説しています。取り組みの事例紹介ダイバーシティ推進においては企業ごとにさまざまな課題が考えられますが、なかでも「性的マイノリティ」は周囲からの理解が得られにくく、当事者が職場で不利益を被る機会が少なくありません。近年、社会的に理解が広がっているものの、当事者が働きやすい職場づくりが浸透しているかといえばまだ十分ではないのが実情です。カミングアウトしていない当事者は不自由な労働環境を受け入れざるを得ない現実もあります。性的マイノリティの人も働きやすい職場を実現させる取り組み事例としては、以下のようなものが挙げられます。経営トップが「ダイバーシティ宣言」をコミットメント。CSRの取り組みに人権尊重を掲げ、性的指向・性自認による差別の撤廃を明文化。性的マイノリティ雇用推進の担当者を配置。採用面接から当事者とのコミュニケーションを実施。社内イントラにて、LGBTの関連情報を発信し従業員へ啓発を行う。LGBTを含めたダイバーシティ推進度のアンケートを定期的に実施。性的マイノリティの相談窓口を設置。マネジメント層へLGBT研修の実施。ダイバーシティの推進は、上記のような開放的で明瞭な取り組みの継続でのみ実現できます。自社の風土や従業員の特性に適した取り組みを検討しましょう。ダイバーシティ推進に、プロ人材という選択肢ダイバーシティ経営を成功させるには、制度設計から社内の意識改革、評価制度の見直しまで、多岐にわたる施策を同時に進める必要があります。しかし、「ダイバーシティ推進の経験を持つ人材が社内にいない」「人事部門が採用業務で手一杯で、新たな制度設計に着手できない」といった壁に直面する企業も少なくありません。こうした課題には、ダイバーシティ推進や人事制度改革の実績を持つプロ人材の活用が有効です。たとえば、人事戦略に精通したプロフェッショナルが、勤務体系の整備や評価制度の設計を支援したり、社内研修の企画・実施を通じて従業員の意識改革を伴走したりすることで、推進のスピードと質を高められます。週1回の壁打ち相手としての活用や、特定の施策だけを任せる形からでも始められます。マイナビProfessionalのご紹介「ダイバーシティを推進したいが、具体的なビジョンが描けない」「制度は整えたものの、従業員の意識改革が進まない」——そんな課題を感じている方も多いのではないでしょうか。マイナビProfessionalは、人事制度設計や組織開発に精通したプロ人材が、ダイバーシティ推進の戦略立案から現場での実行まで一気通貫で支援するサービスです。6万人超のプロ人材データベースから、貴社の課題に最適な専門家をご提案。さらに、マイナビの専任チームが伴走することで、外部人材活用の負担を最小限に抑えながら、プロジェクトを円滑に進められます。支援終了後も、プロと協働する過程で得たノウハウが社内に蓄積され、自走できる組織づくりにつながります。課題が整理できていない段階でも構いません。まずはサービス資料をご覧いただき、お気軽にご相談ください。参考文献・出典[1]ダイバーシティ経営の推進 - 経済産業省https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/index.html[2]ダイバーシティ2.0一歩先の競争戦略へ - 経済産業省">ダイバーシティ2.0一歩先の競争戦略へ - 経済産業省https://www.meti.go.jp/policy/economy/keieiinnovation/kigyoukaikei/pdf/20170421/2017042105.pdf