新規事業立案を成功させるにはどうすればいい?新規事業の成功率は3割未満といわれます。立案の段階で何を決めるかが、その後を大きく左右します。本記事では、新規事業立案の進め方を5つのステップに分けて解説します。各ステップで使うフレームワークと、つまずきやすい点もあわせて紹介します。本記事でわかること新規事業立案の進め方5ステップ各ステップで使うフレームワークステップごとにつまずきやすい点立案でよくある3つの失敗と対策新規事業立案で決める4つのこと新規事業立案でやるべきことは膨大ですが、目的ごとに整理すれば迷いません。下表のとおり、立案は4つの目的に分かれ、各目的に2つずつフレームワークを当てはめてご紹介します。目的(段階)使うフレームワーク何のために使うか① ビジョン決定・MVV・PEST分析なぜその事業を行うかを定め、外部環境を把握する② 市場・方向性分析・3C分析・STP分析顧客・競合・自社を見極め、狙う市場を絞る③ アイデア発想・オズボーンのチェックリスト・KJ法発想を広げ、出たアイデアを整理する④ 行動計画・ビジネスロードマップ・PDCAサイクル実行計画を時系列化し、改善を回す迷ったら①から順に進めるのが基本です。以下では、フレームワークを使うメリットと立案の流れを押さえたうえで、8つを目的別に解説します。立案を型に沿って進める2つのメリット新規事業立案でフレームワークを使う利点は、大きく2つあります。1つは「抜け漏れの防止」、もう1つは「意思決定の高速化とチームの目線統一」です。メリット1:検討の抜け漏れを防げるフレームワークは検討すべき項目があらかじめ決まっています。枠に沿って書き出すだけで、見落としがちな観点を体系的にカバーできます。顧客・競合・自社や外部環境をもれなく見られるため、思いつき頼みの計画になりません。メリット2:意思決定が速まり、チームの目線がそろう新規事業の立案では「何をすべきか」という方向性の決定に時間がかかります。フレームワークという共通の型を使えば、判断の根拠が可視化され、意思決定が速まります。同じ枠で議論することでチーム全員の目線もそろい、立ち上げ後の判断のブレを抑えられます。新規事業立案の進め方5ステップ新規事業戦略にはストーリーが必要です。時間軸に沿ってどのように実現していくのか、プロセスの綿密な組み立てがリスク低減の鍵を握ります。以下の5ステップに、先ほどの早見表のフレームワークを対応させながら進めると、各段階で迷いません。ステップ1:目標や課題の明確化(フレームワーク:MVV)新規事業の成功数は、中小企業白書によれば調査した1,020社中292社と、3割にも満たない数字です[1]。だからこそ、全員の進む方向を合わせる目標・課題の明確化が出発点になります。ここではMVVで「なぜその事業を行うか」を言語化します。つまずきやすいのは、目標を売上金額だけで置くことです。なぜ自社がこの事業をやるのかを言葉にしておくと、後の判断が速くなります。ステップ2:市場やターゲットのニーズ分析(フレームワーク:PEST分析・3C分析・STP分析)市場に需要のない商品やサービスを成功させることは困難です。業界や既存サービスを見直し、ターゲットの課題を解決できるか、将来性のある市場かを分析します。外部環境はPEST分析、顧客・競合・自社は3C分析、狙う市場の絞り込みはSTP分析が役立ちます。つまずきやすいのは、調査を自社の仮説の裏付けに使ってしまうことです。仮説が外れる情報こそ、先に探してください。ステップ3:新規事業のアイデア・プランの検討(フレームワーク:オズボーンのチェックリスト・KJ法)ビジョンとマーケットを定めたら、何をどう販売するかを検討します。収益性のあるアイデアを見つけるのは簡単ではありません。発想を広げるオズボーンのチェックリストと、出たアイデアを整理するKJ法を使い分けます。つまずきやすいのは、最初から良いアイデアを1つ出そうとすることです。まず数を出し、そのあとで絞り込む順番が有効です。ステップ4:現実的な行動計画の立案(フレームワーク:ビジネスロードマップ)「5W1H」に「だれに・いくつ・いくら」を加えた6W3Hで具体化します。立案企業の最多の課題は、必要な技術・ノウハウを持つ人材の不足です。時系列で全体像を描くビジネスロードマップで、必要な打ち手と障害を可視化します。つまずきやすいのは、計画に必要な人と金額を書かないことです。誰が担当し、いくらかかるかまで書いて、はじめて計画になります。ステップ5:行動の見直し・修正(フレームワーク:PDCAサイクル)立ち上げはゴールではなくスタートです。ニーズに合わせて改善を続け、時には事業の再構築や撤退も判断します。この継続的な改善を回す型がPDCAサイクルです。つまずきやすいのは、撤退の基準を決めないことです。いつまでに何が達成できなければやめるのかを、始める前に決めておいてください。このように、5つの段階それぞれに適したフレームワークがあります。次章で8つを目的別に詳しく見ていきましょう。立案の各段階で使うフレームワークここで紹介する8つに加えて、立ち上げフェーズ別の選び方は新規事業のフレームワーク8選で解説しています。大切なのは、正しいタイミングで適したフレームワークを使うことです。ここでは4つの目的の順に、8つを解説します。目的① ビジョン決定:MVV/PEST分析MVVMVVは「ミッション・ビジョン・バリュー」の頭文字です。なぜその事業を行うのか、何を目指すのか、どう行動するのかを定め、組織の目線をそろえます。立案の最初に活用したいフレームワークです。PEST分析PEST分析は「政治・経済・社会・技術」の4視点で、自社でコントロールできないマクロ環境を把握します。中長期の課題発見に役立ちます。【関連記事】詳しい手順は『【テンプレ付き】PEST分析の進め方と注意点|7ステップで基礎から実践まで解説』で解説しています。目的② 市場・方向性分析:3C分析/STP分析3C分析3C分析は「顧客・市場/自社/競合」の3者の視点から、自社の立ち位置と勝ち筋を見極めるフレームワークです。【関連記事】やり方は『3C分析とは?やり方3ステップとテンプレート・企業事例をわかりやすく解説』で詳しく紹介しています。STP分析STP分析は「市場細分化・ターゲット選定・ポジショニング」の3要素で、狙うべき市場と自社の立ち位置を絞り込みます。【関連記事】進め方は『STP分析の進め方|準備から戦略立案まで7ステップで解説』を参照してください。目的③ アイデア発想:オズボーンのチェックリスト/KJ法オズボーンのチェックリストオズボーンのチェックリストは、9つの問いで発想を広げるフレームワークです。「ほかに使い道は」「大きくしたら」「逆にしたら」などの問いを使います。アイデアが煮詰まったときに有効です。KJ法KJ法は、出したアイデアを単位化・グループ化・図解化・文書化の4工程で整理する手法です。少数意見も拾え、偏りのない整理ができます。目的④ 行動計画:ビジネスロードマップ/PDCAサイクルビジネスロードマップビジネスロードマップは、目標達成に必要な事項を時系列で書き出したものです。全体像が視覚化され、障害に先回りして気づけます。PDCAサイクルPDCAサイクルは「計画・実行・測定評価・対策改善」を循環させ、事業計画をブラッシュアップする型です。検証しながら最適化する、行動計画に欠かせない考え方です。【関連記事】「ビジネスモデルキャンバスの書き方9ステップ|記入例と活用ポイントを解説」新規事業立案でよくある失敗と対策フレームワークは、当てはめるだけで使いこなせるものではありません。ここでは、立案でよく起きる3つの失敗と対策を紹介します。失敗1:フレームワークを埋めることが目的になる枠を埋めた時点で満足してしまい、検証に進まないパターンです。対策は期限を決めることです。要点がつかめたら、すぐに顧客に聞く、試作するといった行動に移してください。失敗2:1つのフレームワークだけで判断する万能なフレームワークはありません。3C分析だけでは、自社の強みの深さまでは測れません。対策は、目的の違う型を組み合わせることです。市場を見る型と自社を見る型の両方を使ってください。失敗3:社内の目線だけで結論を出す同じ会社の人だけで検討すると、前提が共有されすぎていて疑問が出ません。対策は、外の視点を入れることです。顧客に直接聞く、経験者に見てもらうといった手段が有効です。新規事業立案についてよくある質問Q1. 立案にはどのくらい時間をかけるべきですか?決まった正解はありませんが、3か月を1つの目安にしてください。これより長引く場合、原因は情報不足ではありません。判断の基準が決まっていないことがほとんどです。Q2. 市場調査はどこまでやれば十分ですか?「やめる理由が見つからない」と言えるところまで調べれば十分です。完璧な調査を目指すと、いつまでも着手できません。小さく試して結果を見るほうが、速く前に進みます。Q3. 社内に経験者がいない場合はどうすればいいですか?経験者が1人入るだけで、立案の速度は大きく変わります。採用が難しい場合は、副業やフリーランスのプロ人材に部分的に入ってもらう方法もあります。Q4. 立案した計画は途中で変えてもよいですか?変えてください。市場の反応を見て修正するのが前提です。変えてはいけないのは、なぜこの事業をやるのかという目的の部分だけです。Q5. フレームワークは必ず使わないといけませんか?必須ではありません。ただし、検討の抜け漏れを自分で見つけるのは難しいものです。型に沿って考えると、見落としに気づきやすくなります。まとめ|5ステップで進め、足りない実行力はプロ人材で補う新規事業立案は、4つの目的に分けて適切なフレームワークを使い分ければ、抜け漏れなく前に進められます。まずは早見表の①ビジョン決定から着手してみてください。一方で、フレームワークを知っていても「実際に立案を推進できる人材が社内にいない」「既存業務と兼務でリソースを割けない」という壁に直面する企業は少なくありません。そこで有効なのが、新規事業開発の実績を持つプロ人材の活用です。マイナビProfessionalは、戦略立案から実務実行まで一気通貫で伴走するプロ人材サービスで、6万人超のデータベースから貴社の課題に最適な人材を提案します。「週1回の戦略アドバイス」など必要な範囲から柔軟に始められ、協働を通じて社内にもノウハウが蓄積されます。まずはお気軽にご相談ください。参考文献・出典[1]第3章新事業展開の促進 - 2017年度版中小企業白書https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H29/PDF/chusho/04Hakusyo_part2_chap3_web.pdf