経営企画の人材が採用できないとき、どうすればいい?経営企画人材の採用難は、専門性と幅広い知識の両立が求められること、経験者の絶対数が少ないこと、中小企業は給与・知名度で不利になりやすいことが原因です。解決策は「採用」だけではありません。既存社員の育成、副業・兼業人材の活用、コンサルタントや顧問の起用、業務の一部アウトソース、ツール導入による効率化、経営者自身のスキルアップなど、7つの選択肢を自社の状況に応じて組み合わせることで、採用に依存せず経営企画機能を構築・強化できます。本記事でわかること経営企画人材が採用できない3つの根本原因採用に頼らない7つの解決策と比較表社内育成で適性人材を見極める5つのポイント副業人材・顧問・アウトソースの活用法と費用相場少人数でも回せるツール導入と段階的な体制構築法そもそも経営企画とは?経営企画部門の主な業務内容5つ企業経営の中枢を担う経営企画は「企業の頭脳」として機能し、企業の持続的な成長と企業価値の向上を目指し、企業の未来を形づくるための戦略的な役割を果たします。その業務は多岐にわたりますが、現在の企業競争においては特に重要度が増している5つの機能に集約されています。業務1:経営戦略の立案と実行管理市場動向や競合分析、自社の経営状態を踏まえて、中長期の経営計画を策定。目標達成に向けた具体的なアクションプランの設計と進捗管理も担当します。経営戦略についてさらに理解を深めたい方は、経営戦略で企業が変わる理由と実践方法もご覧ください。業務2:予算管理と経営分析 各部門からの予算要求をとりまとめ、全社の予算編成、全社の売上・利益計画、財務分析を行います。経営状態を数値で把握し、経営判断の根拠となるデータを提供します。業務3:新規事業の創出とM&Aの企画・推進新規事業の立ち上げ、既存事業の再編、M&A(合併・買収)戦略の策定・実行を主導します。特に買収後の統合プロセス(PMI)を成功に導き、企業価値最大化に直結する成長投資を推進します。新規事業の立ち上げを具体的に進める際のポイントについては、新規事業立ち上げ時の5つのポイントで詳しく解説しています。業務4:組織改革と業務改善 戦略の実効性を高めるため、企業文化の醸成、組織体制の見直し、業務プロセス改革、社内コミュニケーションの活性化を進め、全社的な生産性向上を図ります。あわせて、コスト削減や業務効率化、デジタル化(DX)など、部署横断のプロジェクトも主導します。業務5:経営意思決定の最適化とガバナンス構築取締役会や経営会議の議題を戦略的に設計し、質の高い意思決定をサポートします。必要な情報が経営層にタイムリーに共有される仕組みを作り、透明性の高いコーポレート・ガバナンスを確立。経営者の意図を理解し、先回りして必要な情報を提供することで、的確な意思決定をサポートする役割も重要です。経営企画に求められる3つのスキル経営企画に求められるスキルは多岐にわたりますが、特に重要な3つのスキルを以下に示します。スキル1:戦略的思考力分析力と論理的思考力は経営企画の核です。市場・競合・財務など多様なデータから本質的な課題を見抜き、解決策へつなげる力が求められます。さらに、その分析を基に企業の方向性を描き、実行可能な戦略へ落とし込む戦略的思考力も不可欠です。成功事例や市場データを踏まえ、競争優位を生む戦略を構築できるかが重要です。スキル2:データ分析力数値や定性情報をもとに現状やトレンドを把握し、意思決定に活かす分析力も必要です。経営企画では社内データだけでなく、市場動向や競合情報も分析対象となり、仮説をデータで検証しながら根拠ある提案を行う姿勢が求められます。スキル3:コミュニケーション能力経営企画では、経営陣や各部門との調整・合意形成が日常的に求められます。そのため、相手の立場を理解し信頼関係を築きながら、必要な情報を適切に伝え、戦略の実行を円滑に進める力が不可欠です。これらのスキルは、経営企画の職務を遂行する上での基盤となり、企業の持続的な成長を支えるために不可欠です。経営企画人材がいない3つの根本原因原因1:専門性と幅広い知識の両立が求められるため経営企画担当者には、財務・会計の専門知識、マーケティング理解、事業戦略立案能力、プロジェクトマネジメントスキルなど、深い専門性と幅広い知識の両立が求められます。さらに、業界特有の知識や自社ビジネスモデルへの理解も必要で、企業の中核を担う役割を果たすには表面的な知識では不十分です。この高度な要件を満たす人材は極めて希少で、採用のハードルを大きく引き上げています。原因2:経験者の絶対数が少なく転職市場で競争が激化経営企画の経験者は、転職市場で極めて数が限られているのが現状です。その背景には部門自体がない企業も多く、実務経験を積む機会が構造的に不足していること、そして経験者が企業の中核人材として現職に強く定着する傾向があることが挙げられます。結果、市場に出てくる少数の候補者を、複数の企業が奪い合う熾烈な争奪戦が生まれています。リクルートの調査[1]が示す通り、この求人数の爆発的な増加に対し、供給が全く追いつかない「超」需給アンバランスこそが、人材枯渇を加速させている最大の要因です。原因3:中小企業は給与水準や知名度で不利になりやすい特に中小企業は採用市場で、給与水準と企業ブランドでの競争力不足に直面しています。経営企画職の給与が高騰し、大手企業が年収800万~1,000万円以上を提示する中で、予算制約から同水準を提示できない企業は、給与競争力の限界から優秀な候補者が選考過程で脱落する現実があります。さらに、知名度の低さに加え、部門が未整備なために入社後の役割や権限、明確なキャリアビジョンが提示できないと、求職者が重視する「将来の見通し」の不透明さが生まれ、大手との比較において決定的な応募意欲の低下を招いてしまいます。経営企画人材がいない問題を解決する7つの方法経営企画人材の不足は深刻ですが、「採用」にこだわる必要はありません。自社の状況、予算、緊急度に応じて、以下の7つの戦略的解決策を単独、または組み合わせて活用することが、戦略実行力を維持・向上させる鍵となります。解決策の比較表|コスト・期間・難易度・適した企業規模各解決策の特徴を比較すると、以下のようになります。解決策コスト構築期間/難易度適した企業規模特徴①既存社員の育成低~中6ヶ月~1年/中全規模最も持続性が高い。時間はかかるが自社ノウハウが蓄積される②採用手法の見直し中~高3~6ヶ月/中中堅~大手根本的なリソース確保。ポテンシャル採用や求人訴求力強化が鍵③副業·兼業人材中1~3ヶ月/低~中全規模柔軟かつ迅速な機能補完。経験者を低稼働で活用する④コンサル·顧問高1~3ヶ月/低中堅~大手短期で戦略の質を担保。課題解決型(コンサル)と伴走型(顧問)を使い分ける⑤アウトソーシング中~高1~2ヶ月/低全規模定型業務を切り離す。市場調査やデータ分析などを外部委託⑥ツール·システム低~中1~3ヶ月/中全規模少人数で効率化。BIツールや予算管理システムで業務負荷を軽減⑦最小限体制での運用低即時~3ヶ月/高小規模緊急避難的な策。経営者自身がスキルを補完し、機能を絞って運用自社の状況に応じて、これらの解決策を単独または組み合わせて活用することが重要です。解決策1:既存社員から適性人材を見極めて育成する社内から経営企画人材を育成する場合、適性のある社員を見極めることが成功の鍵です。社内で経営企画人材を育成する際は、以下のポイントをチェックしましょう。本人の意欲も重要な要素です。①経営企画適性のある社員を見極める5つのポイント 論理的思考力と分析力数字やデータから本質的課題を抽出し、合理的な判断・提案ができる能力。財務・市場・競合情報を活用して戦略に落とし込めるかが重要です。全社視点と調整力自部門だけでなく会社全体の最適化を考え、部門間の利害調整や協力を自然に進められる力。各部署のKPIや業務内容を理解し、異なる意見をまとめられる人材は経営企画に適しています。学習意欲・好奇心幅広い知識が求められるため、新しい情報やスキルを積極的に習得する姿勢が必要です。経営全体の視点を持ち、将来的に経営者視点で考えられる人は特に経営企画に向いています。コミュニケーション能力経営層や他部門と円滑に情報共有でき、説得力のある説明で周囲を巻き込める力。信頼関係を築き、協力を引き出せるかがカギです。実行力と粘り強さ戦略を立案するだけでなく、計画を着実に実行できる能力。困難な状況でも諦めずにプロジェクトを推進し、組織の成長に貢献できる力が求められます。②社内育成プログラム:戦略的「経営人材」を育てる3段階社内から経営企画人材を育てるプロセスは、単なる知識の伝達ではなく、経営視点と実践力の段階的なインストールが鍵となります。■ステップ1:経営リテラシーの獲得と視野の拡大(インプットフェーズ 期間目安:1〜3ヶ月)まず、経営の土台となるリテラシーを短期間で集中して習得させます。戦略論、アカウンティング(財務・管理会計)、事業開発の基礎といった専門知識を、外部ブートキャンプや最新のEラーニングで体系的に学びます。特に重要なのは、知識の応用力を養うことです。社内の取締役会や幹部会議にオブザーバーとして参加させ、経営層の意思決定プロセスを肌で感じさせることで、全社的な視野を鍛えます。■ステップ2:実務を通じた戦略思考の実装(OJTフェーズ期間目安:3〜6ヶ月)インプットした知識を、実際の業務で「使える知恵」に変える段階です。新任者には、段階的に権限を委譲し、実践の場で学ばせます。具体的には、月次予実分析のサポート、重要会議のデータ資料作成、あるいは小規模な業務効率化プロジェクトのリーダーなどを任せます。■ステップ3:自律的推進体制への移行と継続的伴走(定着フェーズ 期間目安:6ヶ月〜1年)育成対象者が自律的な戦略推進役として機能することを目指します。担当業務の範囲を広げ、責任を持ってプロジェクトを完遂させます。この段階では定期的・個別的な1on1を通じて、直面する課題やキャリアを共有し、必要なサポートを提供します。③育成期間中の業務設計と兼任体制の作り方育成期間は、リスク管理のため現業との兼任体制が現実的です。まず業務時間の20〜30%を経営企画に充て、徐々に比率を引き上げます。また育成対象を複数名選定しチーム体制で進めることで、互いに学び合い、組織としてのリスクを分散できます。社内育成を進める際には、よくある失敗パターンを事前に把握しておくことが重要です。人材育成で陥りやすい3つの課題と対策もあわせてご確認ください。解決策2:採用手法を「戦略的獲得モデル」へ転換する人材紹介、求人メディアを活用した経験者以外に、採用のターゲットとプロセス自体を見直す方法があります。①ポテンシャル採用で未経験者を経営企画候補として採用経験者採用にこだわらず、潜在能力(ポテンシャル)を重視した採用へと切り替えますターゲットの拡大20代後半から30代前半の若手で、論理的思考力やビジネス洞察力に長けた人材を「経営幹部候補」として迎え入れ、社内で育成します。コンサルティングファーム出身者、事業開発経験者、高度なデータ分析スキルを持つ人材など、隣接領域からの転身が期待できる候補群に注目します。選考基準の焦点化選考では、即戦力スキルよりも思考の柔軟性と自発的な学習意欲を最重要視します。面接ではケーススタディを活用し、候補者の問題解決能力やロジック構築力を徹底的に見極めることが有効です。②リファラル採用とダイレクトリクルーティングの活用求人広告に頼る採用ではなく、企業側から積極的に動くダイレクトなアプローチを強化します。リファラル採用既存社員からの紹介で候補者を獲得する方法です。社員のネットワークを活用することで、求人媒体では出会えない人材にアプローチできます。成功させるには、社員に「どんな人材を求めているか」を明確に伝えることが重要です。紹介インセンティブを設定し、社員の協力を促す仕組みも効果的です。ダイレクトリクルーティング企業側から候補者に直接アプローチする方法です。LinkedInやビズリーチなどのプラットフォームを活用し、経営企画経験者や関連スキルを持つ人材にスカウトメッセージを送ります。ダイレクトリクルーティングでは、パーソナライズされたメッセージが重要です。候補者の経歴を踏まえ、自社でどんな役割を期待しているかを具体的に伝えることで、返信率が高まります。ダイレクトリクルーティングの具体的な導入ステップについては、ダイレクトリクルーティングの基本と導入方法で詳しく解説しています。③求人票の書き方改善|経営企画人材に刺さる5つの要素求人票の内容を見直すことで、応募数と質を向上できます。以下の5つの要素を求人票に盛り込み、候補者の働く意欲とキャリア観に強く響く内容へ刷新します。影響力のある職務記述「経営企画全般」といった曖昧な表現を避け、「新規事業の市場調査と事業計画策定」「M&A後の事業統合の推進」「全社の業務プロセスを横断した抜本的な改革の主導」など、担うミッションの重要性を具体的に記述する。透明性の高い報酬モデル「400万円〜600万円」ではなく、「入社3年目:年収550万円」のように、実在する社員のモデルケースに基づいた年収を明示。手当なども詳細に記載し信頼性を高める。経営中枢へのアクセス「社長直下の特命ポジション」「週次経営会議への参加権」など、経営層との距離の近さと意思決定への関与度を強調する。トップからのコメントも記載する。求める文化適合性の明記スキルリストに留まらず、「変化を楽しみ、自ら課題を設定できる方」「データに基づく客観的な判断を尊重する方」など、カルチャーフィットの観点を明記する。未来を約束する成長シナリオ業界内での立ち位置、成長率、今後の事業展開のロードマップを示し、入社後に得られるキャリアの広がりと自己成長の可能性を提供する。解決策3:副業・兼業人材を活用して経営企画機能を補完正社員採用が困難な今、外部のプロフェッショナルを必要な分だけ活用することは、非常に有効です。柔軟性、低コスト、そして即戦力性が最大の魅力で、多くの企業が活用しています。①副業・兼業人材マッチングサービス例副業人材の活用は、柔軟かつ低コストで経営企画機能を補完できる方法です。主な副業人材マッチングサービスは以下の通りです。サービス名特徴と活用シーンマイナビProfessional6万人超のプロ人材データベースと専任チームの伴走支援が特徴。経営企画・営業・マーケティング・人事など幅広い領域に対応し、戦略立案から実務実行まで一気通貫で支援。最短3週間で協働開始可能。ビザスク1時間単位のスポットコンサルに特化。市場調査の深掘りや事棄計画の論点整理など短期的な知見補強に最適JAC リクルートメントIMS経営企画経験者の紹介に強み。数ヶ月単位での継続的なプロジェクト支援に適するKasooku大手企業の現役社員を兼業で活用可能。先端的な経営企画·事業開発·マーケティングのノウハウを導入できるlotsful週1~2日のコミットで中長期プロジェクトを支援。新規事業の立ち上げなど伴走型支援に向くAnycrewフリーランスや副業人材を時間単位で柔軟に活用可能。契約形態の自由度が高いのが特徴サービス選びでは求めるスキルレベル、稼働時間、予算を明確にし、自社のカルチャーにマッチした人材を探すことが大切です。②副業人材活用時の契約形態と報酬相場副業人材の契約形態は、主に業務委託契約となります。月額固定報酬型と時間単価型があり、プロジェクトの性質に応じて選択します。報酬相場は、経験やスキルレベルによって幅がありますが、以下が目安です。目安時間単価経営企画経験3〜5年5,000円〜8,000円経営企画経験5〜10年8,000円〜12,000円大手企業の経営企画部長クラス12,000円〜20,000円正社員採用と比較すると社会保険料や福利厚生費が不要なため、トータルコストは抑えられます。③副業人材との協働を成功させる3つのポイント<ポイント1:業務範囲と期待値の明確化>副業人材は限られた稼働時間で成果創出が求められます。着手前に 「担当範囲」「達成基準」「納期」 を具体的にすり合わせ、双方の認識を揃えておくことが、プロジェクト成功の前提となります。<ポイント2:社内体制との連携設計>外部だけに依存するのではなく、社内メンバーとの協働体制を整えることが重要です。副業人材が 戦略立案や方向性の提示 を担い、社内メンバーが 実行・運用 を引き継ぐ形を意識することで、成果が継続しやすくなります。<ポイント3:計画的なコミュニケーション頻度の確保>リモートでの関わりが中心となるため、週次ミーティング や 日常的なチャット連絡 など、定期的な接点を意図的に設けることが欠かせません。情報共有の密度を保つことで、方向性のズレや進捗停滞を未然に防げます。外部人材を活用する際には、事前の準備が成功の鍵を握ります。具体的な準備ステップについては、外部人材活用の3つの準備と成長につなげる考え方で詳しく解説しています。解決策4:経営コンサルタントや顧問を戦略的に活用する外部専門家と一口に言っても、担う役割は大きく異なります。①経営コンサルタントと顧問の役割の違い経営コンサルタントは、特定課題の解決や戦略策定を目的に、プロジェクト単位(3ヶ月〜1年程度)で関与します。成果物が明確で、戦略書や事業計画書などのアウトプットがセットになるケースが一般的です。一方で顧問は、月次の継続契約を前提に、経営層の意思決定を支える長期的な伴走者として機能します。経営会議への参加や経営陣への助言など、実務寄りの支援が中心です。目的別の使い分けイメージは以下の通りです。短期間で課題を解決したい → 経営コンサルタント継続的なアドバイスや経営企画の補完が必要 → 顧問 戦略立案から実行まで一気通貫で支援してほしい → コンサル + 顧問の併用②中小企業に適したコンサルタントの選び方と費用感中小企業がコンサルタントを選ぶ際は、中小企業支援の経験値が最重要ポイントです。大手ファームは高度な戦略立案には強いものの、現場の実情に沿わない提案になりやすく、費用も高額になりがちです。費用相場は以下が目安になります。目安月額個人コンサルタント30〜80万円中小規模のコンサル会社50〜150万円大手コンサルティングファーム200〜500万円以上選定時は、実績や専門分野に加え、コミュニケーションの相性も重要です。初回面談で課題を共有し、どこまで具体的に踏み込んだ提案を返してくれるかで、相性の良し悪しが見えます。<顧問活用による経営企画機能の補完例>顧問契約は、週1回程度の稼働で経営企画の不足部分を埋められる、柔軟性の高い手段です。実際の活用イメージは以下のとおりです。例1:月次経営会議でのレビューと助言経営会議に参加し、現状評価と次の一手をアドバイス。内部では気づきにくい視点を提供します。例2:中期経営計画の策定サポート市場分析、目標設定、戦略立案を社内メンバーと共に行い、計画精度を高めます。例3:新規事業創出の伴走支援アイデア検討から立ち上げまで一連をサポート。社内にノウハウがない場面で特に有効です。自社に合った経営の専門家を効率的に見つけたい方は、経営のプロが簡単に見つかる方法も参考にしてください。解決策5:経営企画業務の一部をアウトソースし、社内の負荷を最適化する経営企画は丸ごと外注できるほど単純ではありません。ただし、特定の機能を切り出すことで、大きく効率化できる領域があります。①外部に任せられる業務と、任せるべきではない業務<外部化と相性の良い業務>市場調査・競合分析情報収集や統計処理は、専門会社のほうがスピードも精度も高い領域です。財務分析・予算管理の一部経理業務の延長線にある分析作業は、外部のプロに委託することで負荷を下げられます。経営会議用資料の作成データ整理・スライド化など、再現性が高い仕事は外注しやすい分野です。事業計画書づくりのサポート数値シミュレーションやフォーマット化などは、外部の経験が活きる部分です。一方で、どうしても社内に残すべき仕事もあります。<外部化に向かない業務>経営戦略の意思決定どれほど優秀な外部パートナーでも、最終判断だけは社内で持つ必要があります。組織文化の形成・浸透ここは“血の通ったコミュニケーション”が不可欠で、外部では担えません。機密情報の取り扱い漏洩リスクを考えると、外に出さないほうが安全です。外部に切り出せる仕事と会社の根幹に触れる仕事を、冷静に線引きすることが重要です。②経営企画アウトソースの3タイプと選び方経営企画の外部支援には、以下のようなタイプがあります。総合型サービス戦略構築から実行支援まで一括対応。幅広く任せたい企業向け。ただし費用は高め。特化型サービス市場調査・財務分析・新規事業など特定領域に集中したタイプ。必要な部分だけ依頼でき、コスト効率が良い。オンデマンド型サービススポットで必要なタスクだけ頼める柔軟な仕組み。小規模〜中規模企業との相性が良い。選定のポイントは、「自社のどこが弱いのか」を明確にしたうえで、その穴をピンポイントで埋められるサービスかどうか。加えて、実績・担当者の質・費用対効果も重要な判断材料です。アウトソーシングの費用は、依頼する範囲や専門性によって変わります。 目安金額市場調査20万〜100万円/件財務分析・予算管理10万〜30万円/月 経営会議資料作成5万〜15万円/月 事業計画書支援30万〜150万円/件一見すると安くない金額に感じるかもしれませんが、それ以上のリターンが期待できます。③コスト感と期待できるメリット社内が本当にやるべき仕事に集中できる単純作業を切り出すことで、社内の精鋭たちが「未来の戦略」を練る時間にフルコミットできます。 専門的なノウハウを即座に取り入れられる教育コストをかけず、第一線で活躍するプロの知見をその日から活用できます。 「必要なとき、必要な分だけ」コストを支払う形に変えられる社員を一人雇うほどの重いリスクを負わず、プロジェクトの山谷に合わせて、賢く、柔軟に予算をコントロールできます。 一方で、デメリットも冷静に見極める必要があります。外注先との調整コストが発生する社内にノウハウが蓄積されにくいそのため、「すべてを任せきり」にするのではなく、外部の力を活用し社内の人材を一段上のステージへ引き上げるという視点が、成功への近道です。 アウトソースと内製化の判断に迷う場合は、内製化のメリット・デメリットと業務設計の考え方も参考にしてください。解決策6:経営企画ツールを導入し、少人数でも高い生産性を実現するデジタルツールを活用すれば、限られた人数でも十分に経営企画機能を運用できます。特に、次の5カテゴリは効果が大きく、導入優先度も高い領域です。①経営企画業務を効率化できる5つのツールカテゴリー予算管理・経営管理ツール予算策定、予実の確認、財務の見える化をワンストップで行えます。freee会計、マネーフォワードクラウド会計、Manageboardなどが代表例。データ分析・BIツール売上・顧客情報・KPIを可視化し、意思決定の精度を上げるための基盤づくりに役立ちます。Tableau、Power BI、Looker Studioなどがよく使われています。プロジェクト管理ツール経営企画が担当する横断プロジェクトを“遅れなく前に進める”ための管理基盤。Asana、Trello、Notionなど、直感的に使えるツールが主流です。市場調査・競合分析ツール外部環境の把握をスピードアップさせるツール群。SPEEDA、日経テレコン、SimilarWebなどが主要な選択肢です。会議運営・資料作成ツール経営会議の資料づくりや議事録管理を効率化し、会議の質を底上げします。Google スライド、PowerPoint、Notionなどが利用されています。②中小企業におすすめの経営企画支援ツール3選中小企業が導入しやすい、コストと使いやすさのバランスが良い、現実的な選択肢をピックアップしました。Manageboard(マネージボード)予算管理と経営分析をクラウドで一元化。会計ソフトと連携するだけで、リアルタイムで経営状況が見えるようになります。月額約3万円〜と、投資対効果が大きいのがポイント。Notionプロジェクト管理、社内Wiki、ドキュメント管理をすべて1つに統合できる万能型ツール。経営企画の情報を散らさないことで、組織の意思決定スピードが上がります。無料プランで十分試せるのも魅力。Looker Studio(旧Googleデータポータル)無料とは思えないほど強力なBIツール。スプレッドシートなどと連携し、すぐにダッシュボードを作成できます。費用を抑えながらデータ経営の第一歩を踏み出せます。③導入コストの目安と期待できる効果これらのツールを適切に組み合わせると、月額5〜10万円前後で経営企画の基盤を構築できます。得られる効果としては、手作業を削減できるため業務速度が向上し、データに基づく意思決定も可能になります。また業務の属人化を防ぎ、組織としての再現性を高められるため、少人数でも戦略的な業務に時間を割くことができます。解決策7:経営者自身のスキルアップと最小限体制での運用小規模企業では、経営者が一定の経営企画スキルを持つことで、最小限の体制でも実務が回ります。特に以下の3つは早めに身につけておくと効果的です。①経営者が押さえておきたい基本スキル1. 財務分析力損益・資産・キャッシュフローの3つを読み取り、自社の状態を理解する基礎力です。簿記3級程度の知識で十分、実務に活かせます。2. 市場分析力市場規模や競合状況、トレンドを押さえる力です。公開データやレポートを定期的に確認する習慣がポイントになります。3. 戦略立案の基礎SWOT、3Cなどのシンプルなフレームワークを使って現状を整理し、方向性を描ける力です。書籍やオンライン講座で体系立てて習得できます。中小企業診断士などの資格学習も、実務スキルとして役立ちます。②経営企画機能を段階的に整える考え方すべてを一度に整えようとすると、どうしてもリソース不足になります。段階を踏むことで、無理なく機能を育てられます。フェーズ①0〜3ヶ月最低限の管理体制月次の予実管理と財務分析をスタート。会計ソフトの活用で、会社の状態を数字で把握できるようにします。フェーズ②3〜6ヶ月年度計画づくり売上・利益目標と重点施策をまとめ、簡易版でも良いので計画として文書化します。フェーズ③6ヶ月〜1年中期計画と戦略立案3〜5年の成長シナリオを描きます。市場分析や競合調査を並行して行い、方向性を固めます。フェーズ④1年〜組織体制の構築専任担当を配置し、正式な経営企画機能として運用できる状態へ。ここまで来れば本格的な部門化も視野に入ります。よくある質問(FAQ) Q1. 経営企画経験がない社員でも育成は可能ですか?可能です。 重要なのは経験そのものよりも、ポテンシャルと適性です。特に、論理的思考力、全社的な視点、自発的な学習意欲、高いコミュニケーション能力があれば、経営企画担当として十分に育成できます。実際、多くの企業が営業、企画、財務など他部門の「原石」を抜擢し、OJTと外部研修を組み合わせ、6ヶ月から1年で基本的な戦略業務を担わせています。育成の成功率を上げるには、顧問やコンサルタントをメンターとして活用し、社内にはない視点を与えることが効果的です。Q2. 副業人材と顧問のどちらを活用すべきか、判断基準を教えてください。目的と予算によって選択肢が分かれます。副業人材特定のプロジェクト(新規事業立ち上げ、DX推進など)を推進したい場合や、一時的な専門知見が欲しい場合に適しています。顧問継続的なアドバイスや経営層への伴走型支援が欲しい場合に適しています。経営会議への参加や中長期的な戦略立案のサポートなど、経営全般の視点を補完できます。まずは明確なゴールがある場合は副業人材、経営体制そのものの強化が目的なら顧問、と使い分けるのが良いでしょう。Q3. 経営企画機能の構築にどれくらいの期間が必要ですか?最低限の機能であれば3ヶ月、本格的な体制であれば1年程度が目安です。3ヶ月で実現できること・ツール導入と予実管理の開始・副業人材またはコンサルタントとの協働開始・月次の経営レビュー体制の確立6ヶ月で実現できること・年度計画の策定・重点プロジェクトの推進・既存社員の育成(基礎レベル)1年で実現できること・中期経営計画の策定・経営企画担当者の独り立ち・経営企画部門の設置段階的に機能を拡充していくアプローチが現実的です。まとめ経営企画部門の人材不足は企業の中枢機能を見直し、進化させる絶好の機会として捉えるべきです。正社員採用という一本道に依存せず、戦略実行力を担保する複数の強力な選択肢が用意されています。最も重要なのは、璧な体制を待つのではなく、今すぐアクションを起こすこと。「できることから始める」という段階的構築のアプローチこそがリソースの制約を超え、確かな成長軌道を描くための現実的な鍵となります。経営企画機能の構築・強化は、未来の競争優位性を確立する「最も重要な先行投資」です。本記事のロードマップを確信に変え、貴社の戦略実行力を次なるステージへ押し上げる「未来戦略の次の一手」を、今こそ力強く打ち出しましょう。経営企画機能の強化に、プロ人材という選択肢経営企画機能を構築・強化するには、戦略立案から予算管理、新規事業推進まで幅広い専門性と実行力が必要です。しかし、「経営企画の経験者が社内にいない」「採用しても応募が来ない」「育成する時間的余裕がない」といった壁に直面している企業は少なくありません。本記事で触れた通り、経営企画人材は転職市場でも極めて希少であり、採用だけに頼る戦略には限界があります。そこで有効なのが、経営企画領域に精通したプロ人材の活用です。中期経営計画の策定経験を持つ顧問が経営会議の壁打ち相手となったり、予算管理や市場分析の実務経験者が社内メンバーと協働しながらノウハウを移転したりと、「社内にない知見の導入」と「実務の推進」を同時に実現できます。週1回の稼働から、特定のプロジェクトだけ任せる形でも始められるため、まずは小さく試してみることが可能です。マイナビProfessionalのご紹介「経営企画の人材が見つからない」「採用しても応募が来ない」「育成している時間がない」——本記事で触れたこうした課題に、今まさに直面している企業も多いのではないでしょうか。マイナビProfessionalは、経営企画領域に精通したプロ人材と、マイナビ専任チームの伴走支援によって、貴社の戦略実行力を強化するサービスです。記事内でご紹介した「副業・兼業人材の活用」「顧問によるアドバイス」「経営企画機能のアウトソース」といった解決策を、ワンストップで実現できます。6万人超のプロ人材データベースから、経営戦略立案・予算管理・新規事業開発など、貴社の課題に最適な即戦力人材をご提案。最短3週間で協働を開始でき、採用市場での長期戦を回避できます。さらに、プロと共に業務を進める中で、戦略思考や実行ノウハウが社内に蓄積され、将来的な内製化にもつながります。「まずは経営企画機能の一部だけ外部の力を借りたい」「どんな人材がいるか知りたい」という段階でも構いません。まずはサービス資料をご覧いただき、お気軽にご相談ください。参考文献・出典[1]株式会社リクルート「生産性向上を急ぐ企業、『経営企画』求人が2015年1-6月比10.0倍」(2024年)https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/2024/0925_14744.html