新規事業の人材不足はどう解決すればいい?新規事業の人材不足は、社内リソースの最適活用と外部のプロ人材を戦略的に組み合わせることで解決できます。まず事業フェーズごとに必要なスキルを整理し、社内で補える役割と補えない役割を切り分けます。補えない部分は業務委託・副業・顧問などの外部人材で補完し、事業の進捗に合わせて段階的に体制を広げれば、経験者がいない・人を割けない状況でも新規事業は前に進みます。本記事では、人材不足が起きる原因から、社内5つ・外部6つの具体策、両者の組み合わせ方までを順に解説します。本記事でわかること新規事業で人材不足が起きる4つの原因限られた人員で前に進める3ステップ社内リソース活用の5つのアプローチ外部人材を活用する6つの方法社内×外部の組み合わせ方とよくある失敗新規事業で人材不足が起きる4つの原因新規事業の失敗要因として多くの企業が最初に挙げるのが人材不足です。中小企業庁の調査でも、新規事業に踏み出せない理由の最上位は『必要な技術・ノウハウを持つ人材の不足』とされています。原因を4つに整理すると、どこを社内で補い、どこを外部で補うべきかが見えてきます。原因1:必要な役割と人数を確保するのに時間がかかる新規事業では、必要な役割と人数を確保するまでに多くの時間を要します。事業規模に応じて必要人員が増えるうえ、選抜されたメンバーが途中で離脱するケースも起こり得ます。中途半端な体制では計画が停滞し、機会損失につながる危険もあります。計画段階から人材確保の戦略を組み込み、社内で補えない場合は外部の経験者を活用する選択肢も検討すべきでしょう。原因2:ベテランを既存事業から外せない新規事業の立ち上げには豊富な経験を持つベテランが必要です。しかし実際には既存事業の維持が優先され、ベテランを配置転換できない企業もあります。本業の利益確保が前提である以上、優秀な人材ほど通常業務に拘束されるため、新規事業に専念できる体制を作ることは容易ではありません。その結果、経験の浅いメンバーのみがアサインされ、事業失敗の確率を上げてしまう要因になり得ます。原因3:求められるスキルの幅が広い新規事業のプロジェクトリーダーは、多くの場合中堅エース級が任命されます。しかし、彼らはすでに本業で多くの役割を担っています。若手メンバーも現場で重要ポジションを担っているため、追加の負荷は大きな負担となります。新規事業にはゼロから形にする発想力社内外を巻き込む交渉力不確実性に耐え抜く精神力など幅広いスキルが求められ、人材調達がより難しい状況を生み出す要因といえます。【関連記事】どのようなスキルを優先的に確保すべきか知りたい方は、「新規事業開発とは?成功させる6ステップと必要なスキルを解説」をご参照ください。原因4:新規事業の経験者・ノウハウが社内に存在しないそもそも立ち上げ経験を持つ人材は労働市場でも希少で、社内に経験者がいないまま進めると判断の精度が落ちます。この原因こそ、外部のプロ人材で最も補完しやすい領域です。【関連記事】課題解決の相談先を探している方は、「新規事業の立ち上げ方|担当者が押さえるべき5つのポイントと注意点」が参考になります。人材不足でも新規事業を前に進める3ステップ人材が揃うのを待つ必要はありません。限られた体制でも実行に移すには、次の3ステップが有効です。【関連記事】なお、2〜3名の少人数で立ち上げる具体的な進め方は別記事「採用に頼らない新規事業の進め方|人を増やさず省人化で前に進める4ステップ」で詳しく解説しています。ステップ1:必要な人材要件とスキル全体像を整理する理想的な人材を最初から揃えようとすると、時間とコストの両面で大きな負担が発生して事業のスタートが遅れてしまいます。そこでまず取り組むべきは、事業フェーズごとに必要なスキルを整理して優先順位を決め、必須以外は外部パートナー調達も視野に入れることです。チーム単位で必要スキルを満たせばよいため、スキルマップを作成して役割を明確にしておくことが有効です。フェーズ必要スキル優先度補完方法アイデア創出発想力必須社内選抜事業計画 市場分析・論理思考重要外部コンサル実行行動力必須社内専任化マーケティング・開発専門スキル望ましい外注・業務委託【関連記事】チーム編成の具体的な進め方を知りたい方は、「新規事業立ち上げメンバーの選び方|4つの人物像・6スキルと役割分担を解説」もあわせてご覧ください。ステップ2:小規模チームで先に動き、実績をつくる必要な人材を一気に揃えるのではなく、2〜3名の少人数であっても中核メンバーでスモールスタートすることが現実的です。仮説検証を繰り返し、方向性を明確にする段階では人数の多さより意思決定の速さが重要です。ステップ1で整理したフェーズとも関連しますが、事業の方向性がある程度固まってきたタイミングで外部パートナーの活用を検討することで、リスクを抑えながら実行力を強化できます。期間体制目的0~3ヶ月2〜3名で開始仮説検証・方向性確定3~6ヶ月外部リソース補完実行強化・課題解消6ヶ月~本格チーム編成事業拡大・採用加速ステップ3:事業成長に合わせて段階的にチームを拡大する事業が前進して実績が蓄積されてくると、社内外から協力者を集めやすくなります。十分な検証を行った後に本格的な採用や外部パートナーの増員へ移行することで、無駄な投資を避けながら適切なタイミングでの人材拡充が可能です。初期段階から大規模体制にせず、必要な時期に必要な領域だけを広げていくことで、効率よく事業を前進させられます。拡大フェーズでは、外部のプロ人材と協働しながら社内にノウハウを蓄積し、将来的に自走できる組織へ移行するのが理想です。社内リソースを活用する5つのアプローチ新規事業は社内リソースが限られるなかで進めなければならない場面があります。ここでは、社内リソースを最大限に活用できる具体的なアプローチを解説します。アプローチ1:既存社員の兼務体制を成功させる新規事業専任の人材が不足する場合、既存社員の兼務体制が有効です。しかし、単に兼務させるだけではどちらの業務も中途半端になりがちです。成功のポイントは以下の3つです。時間配分の明確化週単位で新規事業に割く時間を明確にし、上司や同僚の理解を得る評価制度の整備新規事業への貢献も人事評価に反映させることで、モチベーションを維持する業務優先順位の設定繁忙期には既存業務、閑散期には新規事業に注力するなど、柔軟な調整体制を作るアプローチ2:社内公募で潜在能力の高い人材を発掘する社内公募制度を活用することで、表面化していない潜在能力の高い社員を新規事業に参画させることができます。実施のポイントは以下のとおりです。ビジョンの明確化単なる募集ではなく、「会社の未来を創る仲間を募集」と伝え、挑戦意欲を刺激する応募ハードルの低減完全異動ではなく「プロジェクト参加」という形式にして、若手や現部署社員も参加しやすい環境をつくる選考プロセスの透明化書類選考だけでなくワークショップやプレゼンを通して能力を見極め、フィードバックで次回参加意欲を維持するアプローチ3:部門横断のクロスファンクショナルチームで多様な専門性を確保する部門の壁を越えたチーム編成を行うことにより、少人数でも多様な専門性を確保できます。定例会議やSlack・Teamsを活用して情報共有を密にし、物理的距離があっても連携を保つことが重要です。営業:市場調査・顧客開拓技術:製品開発・技術支援管理:予算管理・事業計画アプローチ4:社内育成プログラムで即戦力を育てる新規事業に必要な即戦力が不足する場合、社内での育成は不可欠です。育成の内容とそれぞれにかかる目安の期間は以下のとおりです。期間内容基礎スキル習得(1〜2ヶ月)情報収集力、ロジカルシンキング、プレゼン力を中心に研修やeラーニングで習得するOJTによる実践(2〜4ヶ月)簡単な業務から始め、徐々に難易度を上げながら失敗を恐れず挑戦する外部人材との協働(4〜6ヶ月)プロフェッショナルの業務進め方を間近で学び、社内だけでは得られない視点を吸収するリーダーシップ醸成(6ヶ月〜)小規模プロジェクトを任せ、マネジメント経験を通じて将来のリーダーを育成する【関連記事】育成プログラムをより効果的に運用したい方は、「人材育成の進め方4ステップ|スキルマップ作成から実践までを解説」もあわせてご覧ください。アプローチ5:起業家思考(イントレプレナー)を持つ人材を育てる新規事業成功のためには、スキルだけでなく「起業家思考」を持つ人材が重要です。ある程度の時間をかけながら、社内起業家(イントレプレナー)が育つ土壌をつくっていくことも重要です。社員が主体的に考え行動する力を育て、成果を出す経験を通じて将来の新規事業を担うリーダーを育てます。課題解決型学習プロジェクトを通じて課題発見と解決策立案を学ぶアイデアの実践単なる提案にとどまらずゴールまで実践する外部助言の活用経験豊富な起業家や専門家からの助言で視野を広げる外部リソースを活用する6つの方法社内で補えないスキルは、外部のプロ人材で補完するのが最短ルートです。重要なのは『戦略提案だけで終わらせず、実行まで伴走してもらえるか』『一過性で終わらせず、社内にノウハウを残せるか』という視点です。以下の6つを、必要なスキルと期間に応じて使い分けます。方法1:業務委託・外注で専門性を補う専門性が高く社内で対応が難しい業務は、外部に委託することでスピードと品質を両立できます。定型作業や一時的な大量業務も外注に適しています。委託範囲や成果物基準を明確化し、進捗確認や情報共有を密に行うことが成功のポイントです。<外注に適した業務>業務内容高度専門業務特許調査、法務、専門技術開発などの専門性が高く、社内に知見がない業務定型業務データ収集、レポート作成、プロトタイプ制作などの仕様が明確で成果物が定義しやすい業務短期集中業務イベント運営、大規模調査、開発ピーク対応などの短期間に集中する業務【関連記事】新規事業における業務委託の成功事例については、「新規事業に外部人材を活用すべき理由|マネージャー起用で成功率を高める方法」で具体的に紹介しています。方法2:副業・フリーランス人材を柔軟に活用する副業・フリーランス人材は、期間限定で高度な専門性を取り入れる手段として有効です。外部経験を事業に反映でき、コスト効率も高くなります。<効果的な活用のポイント>必要スキルと稼働時間を明確化する(例:週10時間でも専門性次第で大きな成果が可能)プロジェクト単位や月額固定など契約形態を柔軟に設定成果連動型インセンティブでモチベーション向上【関連記事】「業務委託の偽装請負とは|判断基準と契約書・運用で防ぐ7つのポイント」「副業人材の活用とは|メリット・デメリット10選と対策・正社員との比較を徹底解説」方法3:顧問・アドバイザーで戦略を強化する経験豊富な顧問やアドバイザーを活用することで、意思決定や戦略立案の精度が高まります。報酬は成果連動型にすることで、事業へのコミットメントを強化できます。<選定ポイント>新規事業分野での実績と成功体験がある社内文化を理解し現実的な提案ができる定期面談や戦略会議への参加で多面的に支援方法4:アクセラレータープログラムで集中支援を受けるアクセラレータープログラムは、資金提供だけでなくメンタリングや事業開発支援を総合的に受けられる手法です。短期間で成果を集中して出せることが最大のメリットです。また、他企業との交流で新たな事業機会も創出できる可能性も秘めています。<プログラム選定のポイントと注意点>自社の事業領域に強いプログラムメンターの質や過去の実績を確認するプログラム依存にならず、自社主体で事業推進を続ける体制を整える方法5:他社協業・ジョイントベンチャーで相互補完するリソース不足を補うため、他社との協業は有効な手段です。相互補完関係を築くことで、自社単独では得られない技術や市場情報を活用できます。定期的なコミュニケーションを欠かさないことで認識のズレを防ぎ、持続的な協業を目指します。<成功ポイント>技術・顧客基盤・ノウハウを補完できるパートナー選定役割分担・責任範囲・意思決定プロセスの事前設定知財や利益配分の取り決めでWin-Win関係を構築方法6:外部から経験者を採用して即戦力を確保する新規事業経験者を外部から採用する方法は、社内育成に時間をかけず即戦力を確保できる点で有効です。ただし、企業風土とのマッチングが重要です。適切な人材が見つかれば、事業推進のスピードが格段に上がります。<経験者採用のポイント>社内外の複数部署と連携できるコミュニケーション力業務のアウトソーシングやディレクションができる能力社内文化や価値観に適応できる適性 外部委託の注意点業務委託やコンサル活用は有効ですが、成功には注意が必要です。外部リソースの選択肢を戦略的に組み合わせることで、社内リソースの限界を超えて新規事業を推進できます。各手法を理解し、最適な方法で外部を活用することが成功の鍵です。<外部委託の際に押さえるべきポイント>委託範囲を明確化する社内・外部の役割を分け、責任の所在を明確にすることでトラブルを防止情報共有を綿密に行う企業文化や過去の事業実績、現場の状況など、事業に必要な情報を漏れなく伝え、誤判断を防ぐ進捗管理と定期確認外部人材が主体的に動けるよう、定期ミーティングやチャットツールで進捗を確認する社内活用と外部活用、どう組み合わせる?社内活用と外部活用は二択ではありません。事業フェーズごとに比重を変えるのが現実的です。アイデア創出・初期検証社内の中核メンバーを軸に、専門性が必要な領域(市場調査・マーケティング・技術)だけ外部のプロ人材を点で補います。実行・拡大フェーズ外部人材と協働しながら社内にノウハウを蓄積し、徐々に内製比率を高めます。切り分けの判断軸は2つです。1つ目は『そのスキルが事業の中核か』。中核なら社内で育成し、非中核なら外部に任せます。2つ目は『必要期間は継続的か一時的か』。一時的なら業務委託や副業、継続的なら採用や育成が向きます。よくある質問(FAQ)Q1.最低何人いれば新規事業は始められますか新規事業は最低2名から始めることが可能です。1名が事業責任者として戦略立案と対外交渉を担当し、もう1名が実務面を担当するという体制が最小構成です。ただし、この場合は外部リソースの活用が前提となります。理想的には3〜5名程度のチームを編成し、企画・開発・営業の基本機能をカバーするのがおすすめです。重要なのは人数よりも、メンバーの意欲とスキルのバランス、外部リソースとの連携体制です。【関連記事】少人数チームで事業を立ち上げる際に活用できるフレームワークは、「新規事業のフレームワーク8選|立ち上げフェーズ別の選び方と使い方を解説」で詳しく解説しています。Q2.失敗しやすいパターンと回避方法を教えてください人材不足の状況で新規事業が失敗しやすいパターンは主に3つあります。パターン1:完璧主義による遅延すべてを完璧にしようとして、いつまでも事業がスタートしないパターンです。これを回避するには、MVPの考え方を取り入れ、小さく始めて改善していくアプローチが有効です。パターン2:リソースの分散限られた人材があれもこれもと手を広げすぎて、どれも中途半端になるパターンです。優先順位を明確にし、フォーカスすることが重要です。パターン3:過度な外部依存外部に頼りすぎて社内にノウハウが蓄積されないパターンです。外部リソースは活用しつつも、必ず社内メンバーが関与し、知識移転を図ることが大切です。まとめ:プロ人材で新規事業の人材不足を解決する新規事業の成功には、人材不足を戦略的に補うことが不可欠です。社内リソースの活用と外部人材の組み合わせで、限られた体制でも事業は前進します。『社内に経験者がいない』『ベテランを既存事業から外せない』『市場調査やマーケティングの知見が足りない』——こうした壁は、外部のプロ人材で補完できます。【関連記事】「プロ人材とは?正社員との違いとフリーランス・副業・顧問の使い分けを徹底解説」マイナビProfessionalは6万人超のプロ人材データベースから、新規事業の各フェーズに最適な人材を、必要な期間だけ活用できるサービスです。最短3週間で協働を開始し、専任チームの伴走でノウハウを社内に蓄積、将来の自走まで支援します。まずはサービス資料をご覧ください。