副業人材の活用、メリットとデメリットのどちらが大きい?人材不足が深刻化するなか、必要なスキルを必要なタイミングで確保できる「副業人材の活用」が広がっています。一方で、稼働時間の制限・情報漏洩リスク・帰属意識の低さといった課題も指摘されており、導入を迷う企業は少なくありません。本記事では、副業人材を活用する5つのメリットと5つのデメリットを整理し、デメリットを最小化する具体的な対策、正社員・派遣・フリーランスとの比較から、自社に最適な活用シーンまでを解説します。判断材料を一通りそろえたうえで、「自社で副業人材を活用すべきか」を見極められる内容です。本記事でわかること副業人材の基本と3つの活用タイプ(タスク型/プロジェクト型/ミッション型)副業人材を活用する5つのメリットと5つのデメリットの全体像デメリットを解消する5つの実践的な対策正社員・派遣・フリーランスとの違いと最適な使い分け副業人材活用を成功させる5つのステップと自社判断のための『3つの問い』副業人材とは? 副業人材の活用を検討するうえで、まず押さえておきたいのが、その基本的な定義と、混同されやすい他の人材活用形態との違いです。さらに、副業人材を活用する3つのタイプ(タスク型・プロジェクト型・ミッション型)を理解しておくと、自社の課題に合わせた依頼方法を選びやすくなります。副業人材の定義とフリーランス・業務委託との違い 副業人材とは、本業で企業に所属しながら、勤務時間外に別の企業の業務を請け負う人材を指します。広義では、個人事業主やフリーランス、複数企業から仕事を受ける兼業人材も含まれます。 混同されやすい概念との違いは以下のとおりです。 フリーランス特定の企業に所属せず、独立して複数の案件を受注する「働き方」を指す言葉。副業人材は本業の所属先がある点が異なる。 業務委託働き方ではなく契約形態の名称。副業人材・フリーランスのいずれとも業務委託契約を結ぶケースがある。 派遣社員派遣会社と雇用契約を結び、派遣先で就業する形態。給与の支払い・雇用管理は派遣会社が行い、日々の業務指示は派遣先企業が行うという二重構造になっている点が、副業人材とは異なる。 個人事業主税務署に開業届を提出することで、個人として事業を営む立場を指す。フリーランスが採用することの多い税務上の区分であり、企業に所属せず独立して活動する点が特徴。副業人材も、企業と業務委託契約を結び開業届を提出することで、税務上は個人事業主として扱われる場合がある。 副業人材の特徴は、本業で培った専門スキルや業界知見を持ちながら、柔軟な契約形態で企業の課題解決に貢献できる点にあります。 【関連記事】フリーランスとの取引や業務委託契約での偽装請負リスク、フリーランス保護新法の対応については、「副業やフリーランスとの取引で注意したい業務委託契約|偽装請負リスクと契約書作成」「フリーランス保護新法から見えてくる、全企業に欠かせない外部人材活用の基本」で詳しく解説しています。副業人材の3つの活用タイプ 副業人材の活用方法は、依頼する業務の範囲や期間に応じて、タスク型・プロジェクト型・ミッション型の3つに分類できます。 タスク型タスク型は、納品物や作業内容が明確な業務を単発で委託する方法です。ロゴデザインの作成、データ入力、翻訳業務などが該当し、短期間で完了する業務に適しています。従来の外注やアウトソーシングに近い形態です。 プロジェクト型プロジェクト型は、ECサイトの立ち上げやシステム開発など、中長期のプロジェクト単位で業務を委託する方法です。副業人材が一定期間にわたって事業に関わるため、タスク型よりも深いコミットメントが求められます。 ミッション型ミッション型は、期間や成果物を限定せず、経営課題の解決や組織改革など広範な業務を委託する方法です。経営戦略の立案、人材開発、ブランディングなど、高い専門性と当事者意識が求められる領域で活用されます。 自社の課題に応じて適切なタイプを選ぶことが、副業人材活用の第一歩です。 副業人材が企業に注目される3つの社会的背景副業人材の活用が広がっている背景には、主に3つの要因があります。 背景1:生産年齢人口の減少パーソル総合研究所と中央大学の推計によると、2035年時点の日本の労働力不足は2023年の約2倍となる384万人に達すると見込まれています。フルタイム人材の確保がますます困難になるなか、副業人材は貴重な労働力の供給源となっています[1]。 背景2:副業希望者の増加政府統計によると、2022年の副業者数は332万人に達し、10年前と比較して約100万人増加しました。30代のIT・専門職人材から、40〜50代の管理職経験者まで、幅広い層が副業に取り組んでいます[2]。 背景3:制度面の後押し2018年に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公表して以降、副業を解禁する企業が増加しました[3]。モデル就業規則の改定やテレワークの普及も相まって、地方企業が都市圏の専門人材を活用するハードルも下がっています。特に、常用労働者数5,000人以上の大企業では、「副業を認めている」「認める予定」と回答した企業が8割を超えています[4]。 副業人材を活用する5つのメリット 副業人材の活用は、人材不足の解消にとどまらず、コスト最適化や組織の成長にもつながります。企業が得られる5つのメリットを、具体的に見ていきましょう。 メリット1:必要なスキルを持つ人材を柔軟に確保できる 副業人材を活用する最大の利点は、必要なスキルを持つ即戦力を、必要なタイミングで確保できる点です。正社員採用の場合、求人掲載から入社までに平均2〜3か月を要し、さらに業務に慣れるまでの教育期間も必要になります。一方、副業人材であれば、本業で培った専門スキルをそのまま活かせるため、採用後すぐに成果を期待できます。 たとえば、SNSマーケティングを強化したい場合には、大手企業のマーケティング部門で実績を持つ副業人材に週数時間だけ依頼するといった柔軟な活用が可能です。技術開発、データ分析、ECサイト構築、販路開拓など、幅広い領域で専門人材を確保できる点も大きなメリットです。 メリット2:正社員採用と比べて人件費を最適化できる 副業人材との契約は業務委託が一般的であり、社会保険料や福利厚生費といった法定福利費が発生しません。正社員を1名雇用する場合、給与に加えて給与の約15〜20%の法定福利費が上乗せされますが、業務委託ではこのコストを削減できます。 また、繁忙期だけ稼働を増やし、閑散期には依頼を減らすといった調整も可能です。年間を通じた固定人件費ではなく、成果やスキルに応じて報酬を支払う変動費型の人件費構造を実現できる点は、経営の柔軟性を高めるうえで大きなメリットです。 メリット3:人手不足を即戦力で解消できる 帝国データバンクの調査によると、正社員の人手不足を感じている企業は 52.3% に達しています。特にソフトウェア開発や情報処理サービスなどでは、AIを活用したサービスの拡大やDX需要の増加により受注が伸びている一方で、「開発案件はあるが人手が足りない」とする企業が多く、69.2%が人材不足を指摘しています。こうした状況のなか、副業人材を活用すれば、採用市場で競合しにくい形で専門人材を確保できます。 一方、非正社員についても「人材派遣・紹介」では 6割の企業が人手不足 を感じていることが同調査で明らかになっています。定型業務(データ入力、請求書作成、商品情報管理など)をタスク型で副業人材に委託すれば、既存社員がコア業務に集中できる体制を整えることができます [5]。【関連記事】人手不足解消の選択肢として、業務委託全般の活用方法も合わせて検討したい方は、別記事「業務委託で人手不足を解消|外部リソース活用の5つの方法と選び方」も参考にしてください。メリット4:社外の知見で組織のイノベーションを促進できる 経済産業省の資料では、受入企業・越境人材・送出企業に加え、それらを支援する機関やプラットフォーマーが連携することで、副業人材の活用がオープンイノベーションを促進すると指摘されています。 副業人材は、自社とは異なる企業文化や業界知識を持っており、その外部視点が社内に入ることで、業務プロセスの見直しや新たなビジネスアイデアの創出につながります。また、自社だけでは気づけなかった課題の発見や、他業界の成功事例の応用など、組織の活性化に寄与する効果も期待できます [6]。メリット5:既存社員の成長やスキルアップにつながる 副業人材との協働は、既存社員にとっても成長の機会となります。普段は接することのない外部の専門家と業務を進めることで、新しい知識やスキル、仕事の進め方を学べるためです。 パーソルが行った調査では、副業人材の活用が会社に良い影響を与えている理由として、「社員の生産性向上(46.5%)」 や 「社員のスキルアップ(34.3%)」 が上位に挙げられています。 副業人材が持つノウハウが社内に蓄積されていけば、将来的には外部リソースに頼らず自社で対応できる領域が広がり、組織全体の自走力向上にもつながります[7]。副業人材を活用する5つのデメリット メリットがある一方で、副業人材の活用にはリスクや課題も存在します。導入前にデメリットを正しく把握し、適切な対策を講じることが、活用を成功させるための重要なポイントです。デメリット1:稼働時間に制限があり対応スピードに差が出る 副業人材は本業を持っているため、フルタイム社員と比べて稼働できる時間が限られます。平日の日中は本業に従事しているケースが多く、対応可能な時間帯が夜間や休日に偏りやすい点が特徴です。 そのため、緊急対応が必要な業務や、リアルタイムでの意思決定が求められるプロジェクトには不向きな場合があります。依頼する業務の性質と、副業人材の稼働可能時間を事前にすり合わせておくことが重要です。デメリット2:コミュニケーション不足が起きやすい 副業人材はリモートワークが中心で、かつ稼働時間も限られるため、社内メンバーとの情報共有やコミュニケーションが不足しがちです。認識のズレが蓄積すると、成果物の方向性が期待と異なる、進捗が見えにくいといった問題が発生します。 また、フルタイム社員のように日常的な雑談や会議を通じて関係構築を行うことが難しい点も課題です。このため、意識的にコミュニケーション機会を設け、情報共有の仕組みを整えることが重要になります。 デメリット3:情報漏洩やセキュリティリスクがある 副業人材に業務を依頼する際には、社内の情報やデータを共有する場面が生じます。社外の人材に機密情報へのアクセスを許可する以上、情報漏洩のリスクが高まる点は見過ごせません。 特に、副業人材が競合他社でも業務を行っている場合、意図せず自社のノウハウや戦略が流出する可能性があります。こうしたリスクを防ぐためには、契約面とシステム面の両方からセキュリティ対策を講じることが重要です。 デメリット4:労働時間の管理が複雑になる 副業人材を雇用契約で受け入れる場合、本業との労働時間を通算して管理する必要があります。労働基準法では、1日8時間・週40時間の法定労働時間や、時間外労働の上限規制(単月100時間・複数月平均80時間)が適用されるためです。 その結果、副業先での就労が当初から法定時間外労働に該当する場合には、1.25倍の割増賃金を支払う義務が生じるケースもあります。こうしたリスクは、業務委託契約であれば回避できますが、契約形態の選択には十分な注意が必要です。 デメリット5:帰属意識が低く品質にばらつきが出る場合がある 副業人材は複数の企業と関わっているため、特定の企業への帰属意識が正社員ほど高くない傾向があります。その結果、成果物の品質にばらつきが生じたり、自社の事業理解が浅いまま業務が進んだりするリスクがあります。 こうした課題を防ぐためには、期待する品質水準を事前に明確化し、定期的なフィードバックの仕組みを設けることが重要です。 デメリットを解消する5つの対策 副業人材の活用で成果を上げている企業は、デメリットを放置せず、具体的な対策を講じています。ここでは、前述の5つのデメリットに対応する実践的な対策を紹介します。 対策1:稼働ルールと期待値を契約時に明文化する 稼働時間の制限に対しては、契約締結時に稼働日、対応可能時間帯、月間の想定稼働時間、成果物の納期をあらかじめ書面で合意しておくことが有効です。「週10時間・平日夜間と土曜日に稼働」「チャットへの返信は24時間以内」など、具体的な数字で取り決めておけば、双方の期待値のズレを防げます。 また、緊急時の連絡手段やエスカレーションルールも事前に定めておくことで、トラブル発生時の対応をスムーズにできます。 対策2:定例ミーティングとチャットツールで情報格差をなくす コミュニケーション不足への対策は、個人の努力に頼るのではなく、仕組みで解決することが基本です。具体的には、以下の施策が効果的です。 週1回の定例ミーティング(15〜30分) を設け、進捗確認と方向性のすり合わせを行う SlackやTeamsなどのチャットツール を活用し、日常的な情報共有チャネルを整備する Notion、Asana、Backlogなどのタスク管理ツール で業務の進捗を可視化する プロジェクト開始時のキックオフミーティング で、目的・ゴール・役割分担を明確に共有する また、ツールを導入するだけでなく、気軽に質問できる雰囲気づくり も欠かせません。副業人材が遠慮して確認を控えてしまうと、認識のズレが生じ、手戻りの原因になります。対策3:NDA締結とアクセス権限の最小化でセキュリティを担保する 情報漏洩リスクに対しては、契約面とシステム面の両方から対策を講じることが重要です。 まず契約面では、業務開始前に NDA(秘密保持契約) を締結し、秘密情報の定義、取り扱いルール、違反時のペナルティを明確にします。また、競業避止条項 を盛り込み、競合他社での同種業務を制限することも検討すべきです。 一方システム面では、アクセス権限を業務に必要な最小限に絞ります。共有フォルダの閲覧範囲を限定する、個人端末での作業を禁止する、VPN経由でのアクセスを必須にするなど、情報の取り扱いルールを具体的に定めることが求められます。 【関連記事】業務委託契約の具体的な作成方法と偽装請負リスクの回避策については、別記事「副業やフリーランスとの取引で注意したい業務委託契約|偽装請負リスクと契約書作成」で詳しく解説しています。対策4:業務委託契約を基本とし労働時間管理の負担を軽減する 労働時間管理の複雑化を避けるためには、雇用契約ではなく業務委託契約(請負または準委任)を基本とするのが現実的です。業務委託であれば、労働時間の通算処理や割増賃金といった問題が発生しないため、企業側の管理負担を大きく軽減できます。 一方で、業務委託契約でありながら実態として指揮命令関係が存在する場合には、偽装請負と判断されるリスクがあります。これを避けるためには、業務の進め方を細かく指示しないことや、勤務場所や時間を拘束しないこと、そして成果物ベースで業務を依頼することなど、業務委託としての実態を適切に維持することが重要です。 【関連記事】2024年11月施行のフリーランス保護新法は、副業人材も含む業務委託全般に適用されます。対応の必須ポイントは別記事「フリーランス保護新法から見えてくる、全企業に欠かせない外部人材活用の基本」で確認できます。対策5:OKR・KPIで成果を可視化し品質を担保する 帰属意識の低さや品質のばらつきに対しては、成果を定量的に評価する仕組みを導入することが有効です。具体的には、プロジェクト開始時にOKR(目標と主要な成果指標)やKPIを設定し、定期的に進捗を確認します。「月間リード獲得数○件」や「コンバージョン率○%改善」など、数値で測定可能な指標を設けることで、求める品質基準が明確になります。 さらに、月次や四半期ごとの振り返りミーティングを実施し、成果に対するフィードバックや改善点を共有することで、副業人材のモチベーション維持にもつながります。こうした仕組みを継続的に運用することで、品質の安定化と成果最大化を図ることができます。 また、面談の段階で自社の理念や製品・サービスへの共感度を確認しておくことも、長期的な品質維持に有効です。 これらの対策を適切に組み合わせることで、副業人材のデメリットを最小化し、安定した成果につなげる運用体制を構築できます。 自社にあったデメリット対策の設計に迷ったら、まずは無料相談からマイナビProfessionalでは、副業人材活用の対策設計から導入後の伴走まで、企業担当と人材担当の2名体制でサポートします。正社員・フリーランス・派遣との比較で見る副業人材の最適な活用シーン 副業人材の活用を検討する際には、「正社員を採用すべきか」「フリーランスに依頼すべきか」など、他の人材確保の方法と迷うケースが少なくありません。そこでここからは、4つの人材活用手段を比較し、副業人材が最適となるシーンを明確にしていきます。 4つの人材活用手段の特徴比較 主な比較ポイントを表にして整理しました。 比較ポイント正社員副業人材フリーランス派遣社員コスト給与+法定福利費+教育費で最も高い業務委託のため法定福利費不要専門性に応じて単価が変動派遣料に管理費が含まれるスキル自社業務への習熟度が高い本業で得た最新の実務スキル特定領域の深い専門性一定だが幅は派遣会社依存柔軟性長期雇用前提で柔軟性低契約期間・稼働時間の調整容易契約条件の調整容易契約期間に制約あり比較的柔軟契約形態雇用契約(無期)業務委託契約業務委託契約雇用契約(派遣会社)コミット度最も高い(フルタイム)中(本業優先)案件次第(フルタイム可)中〜高(契約期間中)社内ノウハウ蓄積最も蓄積しやすい協働で蓄積可(伴走型)成果物のみで限定的蓄積しにくい【関連記事】職種別の業務委託単価相場と正社員雇用とのトータルコスト比較を詳しく知りたい方は、別記事「【職種別】業務委託の単価相場一覧|報酬の決め方と正社員との総コスト比較」も参考にしてください。副業人材の活用が特に効果的な3つのケース ケース1:特定領域の専門知識が一時的に必要な場合マーケティング戦略の立案、Webサイトのリニューアル、人事制度の設計など、社内に専門人材がいない領域で短期〜中期的にプロの力を借りたいときに最適です。 ケース2:正社員採用が間に合わない緊急の人材ニーズがある場合事業拡大や新規プロジェクトの立ち上げで人手が不足しているものの、正社員の採用には時間がかかる場合には、副業人材を活用して即戦力を確保しつつ、並行して正社員採用を進める方法が有効です。 ケース3:コストを抑えて新しい取り組みを試したい場合新規事業の市場調査やプロトタイプ開発など、成果が不確実な段階でフルタイム人材を雇用するリスクを避けたいときには、副業人材の活用が適しています。 副業人材の活用を避けたほうがよいケース 一方で、以下のようなケースでは、副業人材よりも他の手段を選ぶほうが適しています。 ケース1:機密性が極めて高い業務の場合経営の根幹に関わる情報を扱う場合は、正社員のほうがセキュリティ管理を徹底しやすいです。ケース2:フルタイムの常駐が必要な業務の場合現場での対応が不可欠な業務では、派遣社員や正社員のほうが適しています。 ケース3:長期的な組織づくりが目的の場合企業文化の醸成やチームビルディングが主目的であれば、正社員採用を優先すべきです。 このように、副業人材の強みと限界を理解したうえで、自社の課題や目的に最も適した人材活用手段を選ぶことが重要です。 副業人材活用を成功させる5ステップここまでで「副業人材を活用すべきか」の判断材料は揃いました。導入を決めた場合に、実際に動き出すための5ステップを解説します。ステップ1:自社の課題と必要なスキルを明確にする解決したい経営課題と、その課題を解決するために必要なスキル・経験を言語化します。「マーケティング全般」のような広い定義ではなく、「BtoB SaaSのリード獲得改善」「LinkedIn広告の運用最適化」など、具体的な業務単位まで落とし込むことが重要です。ステップ2:活用タイプを選定する(タスク型/プロジェクト型/ミッション型)ステップ1で明確になった業務範囲をもとに、3つの活用タイプから最適なものを選びます。単発の業務ならタスク型、特定プロジェクトの完遂ならプロジェクト型、組織変革まで含むならミッション型が適しています。ステップ3:採用チャネルを選定し人材を募集するマッチングサービス、リファラル、クラウドソーシング、エージェント経由など、目的に応じた採用チャネルを選びます。専門性が高く即戦力を求める場合は、人材データベースを持つマッチングサービスやエージェントが有効です。【関連記事】マッチングサービスの選び方は、別記事「副業人材マッチングサービス12選|目的別の選び方ガイド」で詳しく解説しています。ステップ4:受け入れ体制とルールを整備する業務委託契約の締結、NDA、競業避止条項、コミュニケーションツールの整備、アクセス権限の設計など、副業人材を迎え入れる前に整えるべき要素は多岐にわたります。対策セクションで紹介した5つの対策をチェックリスト化しておくとよいでしょう。ステップ5:定期的に振り返り改善する導入後はOKR・KPIに基づく月次・四半期の振り返りを実施し、成果と課題を整理します。短期的な成果物の評価だけでなく、社内ノウハウの蓄積度合いや、副業人材から学んだ業務プロセスの内製化度も評価軸に加えると、組織全体の成長につながります。よくある質問(FAQ) Q1. 副業人材の報酬相場はどのくらい? 報酬相場は職種や専門性によって大きく異なります。目安として、マーケティングやIT系の専門人材は時給3,000〜8,000円程度、経営コンサルティングや高度な戦略業務では月額20万〜50万円程度が一般的です。タスク型の定型業務であれば、時給1,500〜3,000円程度で依頼できるケースもあります。報酬は、業務の難易度や求めるスキルレベル、稼働時間に応じて適切に設定することが重要です。 Q2. 副業人材との契約で注意すべき法的ポイントは? 最も注意すべきは偽装請負のリスクです。業務委託契約を結んでいても、業務の進め方を細かく指示したり、勤務場所や時間を拘束したりすると、実質的な雇用関係と見なされる可能性があります。業務委託の場合は「成果物や業務の完成」に対して報酬を支払う形とし、指揮命令関係が生じないように注意することが重要です。また、NDA(秘密保持契約)の締結や、競業避止条項の検討も欠かせません。 Q3. 副業人材の活用に使える助成金や補助金はある? 026年3月時点で、副業人材の活用に直接適用される国の助成金は限定的ですが、長野県をはじめとする地方自治体では、副業・兼業人材の受け入れを支援する制度を募集している場合があります[8]。中小企業庁や各地域の産業振興機関が副業・兼業人材のマッチング支援事業を実施しているケースがあります[9]。経済産業省の「兼業・副業人材活用のススメ」でも、地域の支援機関を通じた活用事例が紹介されています[10]。また、自治体独自の補助制度が設けられている場合もあるため、地域の商工会議所や産業振興財団の公式サイトを確認することが有効です。 Q4. 副業人材と既存社員の関係はうまくいく? 事前の準備と配慮があれば、副業人材とも良好な関係を構築できます。ポイントは、副業人材の役割と期待される成果を既存社員にも明確に伝えることです。「自分たちの仕事が奪われるのではないか」という不安を払拭し、「専門知識を持つ外部パートナーとして協力する関係」であることを共有しましょう。キックオフミーティングで顔合わせの機会を設けたり、チャットツールでの日常的なやり取りを促進したりすることも効果的です。Q5. 副業人材のマッチングサービスはどう選べばいい?選定軸は4つあります。登録人材のスキル領域(マーケ・IT・経営など自社課題と合致するか)マッチングまでのスピード(最短数日〜数週間)料金体系(成功報酬/月額固定/プラットフォーム利用料)サポート範囲(マッチングのみ/導入後伴走まで)です。【関連記事】12のサービスを目的別に比較した別記事「副業人材マッチングサービス12選|目的別の選び方ガイド」で、自社にあったサービスを選ぶポイントを詳しく解説しています。Q6. 最初に副業人材へ依頼すべき業務範囲は?初回はタスク型で「成果物が明確な業務」を1〜3か月の短期で依頼するのがおすすめです。具体的には、市場調査レポートの作成、特定広告キャンペーンの設計、採用ペルソナの言語化など、納品物がはっきりしている業務が向いています。初回で社内の受け入れ体制やコミュニケーションのコツを掴んだあと、徐々にプロジェクト型・ミッション型へ広げていくと、失敗リスクを抑えながら活用範囲を拡大できます。まとめ以下に本コラムのポイントをまとめました。 副業人材は、必要な専門スキルを必要なタイミングで柔軟に確保できる有力な選択肢である。 稼働時間の制限やコミュニケーション不足、セキュリティなどのデメリットがあるため、事前にリスクを正しく把握することが重要。 デメリットは「契約条件の明文化」「情報共有の仕組み化」「NDA・権限管理」「業務委託契約の適切運用」「OKR/KPIの設定」で解消できる。 専門知識の一時利用・緊急の人材確保・低コストでの新規挑戦など、副業人材が特に効果を発揮するシーンが明確である。 自社の課題や目的に応じて、副業人材・正社員・派遣・フリーランスの中から最適な手段を選ぶことが重要である。 副業人材を含む「プロ人材」の活用、何から始める?副業人材の活用で成果を出すには、自社の課題を正しく定義し、最適なスキルを持つ人材とマッチングし、受け入れ体制を整えることが欠かせません。しかし「どの領域に外部人材を入れるべきか判断できない」「副業人材のマネジメント経験がなく不安」という声は少なくありません。マイナビProfessionalでは、副業・兼業を含むプロ人材6万人超のデータベースから、貴社の課題に最適な人材を最短3週間でマッチング。コンサルティングで終わらず実行まで伴走し、外注で終わらず内製化を支援する点が、他の人材活用サービスとの大きな違いです。マイナビProfessionalの3つのポイント1名・最短3か月から契約可能で、「まずは副業人材の導入設計だけ相談したい」段階からでも活用いただけます。初期費用・着手金は0円、月額費用のみのシンプルな料金体系で、週1回の顧問契約から週5回のフルコミットまで柔軟に対応します。経営・営業・マーケティング・人事など、あらゆる領域のプロフェッショナルが在籍。現役の事業責任者・スペシャリスト・顧問経験者まで、正社員採用では出会えない稀少性の高い人材ともマッチング可能です。課題が明確でない状態でも構いません。支援事例や登録人材について、まずはお気軽にご相談ください。参考文献・出典 [1]日本経済新聞「労働力、2035年は384万人不足に悪化 パーソル総研」2024年https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC178CZ0X11C24A0000000/ [2]大臣官房総合政策課「副業の実態把握」2025年https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/2025010/202510e.pdf [3]厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン 」2018年https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000962665.pdf [4]労働政策研究・研修機構「約7割の企業が副業・兼業を「認めている」「認める予定」」2022年https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2022/12/k_01.html [5]帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年1月)」https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260220-laborshortage202601/ [6]経済産業省「副業・兼業人材の中小企業での活用促進に向けた 知的財産課題等調査事業 研究会報告書」2023年https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2022FY/000173.pdf [7]パーソルキャリア「<副業人材の活用が企業に与える影響を調査>副業人材を活用する企業は前年比123%増 「副業人材活用」は「人への投資」の目的である、自社社員のスキル・生産性向上に寄与することが明らかに」2023年https://www.persol-career.co.jp/newsroom/news/research/2023/20230609_956/ [8]長野県「副業・兼業人材活用促進事業補助金」2026年https://www.pref.nagano.lg.jp/keieishien/sangyo/shokogyo/chusho/fukugyohojokin_kasokugata.html [9]内閣府・金融庁「地方におけるプロフェッショナル人材普及促進事業」2026年https://www.chisou.go.jp/sousei/about/projinzai/index.html [10]経済産業省「兼業・副業人材活用のススメ」2022年https://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/jinzai/data/220331_kenngyouhukugyou_zireisyu.pdf