なぜインサイドセールスの採用は難しいのか?インサイドセールスの立ち上げや増員を進める中で、「経験者の応募が集まらない」「採用してもすぐ辞めてしまう」と悩む企業が増えています。経験者の母数が限られるなか、従来の中途採用だけに頼る方法では人材を確保しきれないのが実情です。打開策は、採用以外の選択肢を含めて手段を整理することにあります。社内異動、未経験者の育成、業務委託、副業・フリーランス活用など、自社の予算・緊急度・組織フェーズに応じて組み合わせれば、採用難はコントロール可能な課題に変わります。本記事では、6つの人材確保方法をコスト・期間・難易度で比較し、自社に合った選び方を具体的に解説します。本記事でわかることインサイドセールスの採用が難しい3つの構造的理由求めるべきスキルと適性、採用要件の整理方法6つの人材確保方法(採用・育成・外注)のメリット・デメリット比較予算・緊急度・組織フェーズ別の最適な選び方採用後のミスマッチや早期離職を防ぐポイントインサイドセールスの採用・人材確保が難しい理由 インサイドセールスの人材確保が難しい背景には、個社の採用力だけでは解決できない構造的な要因があります。採用手法を見直す前に、まずは「なぜ確保しにくいのか」を整理しておくことが重要です。原因を正しく把握することで、自社に合った現実的な打ち手を選びやすくなります。 理由1:インサイドセールス経験者の母数が少ない インサイドセールスは日本では比較的新しい職種であり、十分な実務経験を持つ人材の母数が限られています。特に、戦略設計やKPI管理まで担えるマネージャー・リーダークラスは市場に出回りにくく、企業間での取り合いになりやすい傾向があります。その結果、求人を出しても応募が集まらない、あるいは採用までに時間がかかるといった状況が起こりやすくなるのです。経験者採用に依存すると、採用活動が長期化しやすい点は押さえておく必要があります。 理由2:求められるスキルが広く採用要件が定まりにくい インサイドセールスには、顧客ヒアリング、情報収集、データ分析、CRMツールの活用、メールコミュニケーションなど、複数のスキルが求められます。フィールドセールスとは異なる専門性が必要であり、営業経験があればそのまま活躍できるとは限りません。 さらに、分業型か一気通貫型かといった組織体制によって必要な役割も変わります。そのため、採用要件が曖昧になりやすく、結果としてミスマッチが発生しやすくなります。要件定義の難しさ自体が、採用難易度を押し上げる要因です。 理由3:営業職全体で人材獲得競争が激化している インサイドセールスに限らず、営業職全体で人材の獲得競争は激しくなっています。労働人口の減少により、企業間で人材を奪い合う構図が続いているためです。 この影響で、インサイドセールス人材も他の営業職種と同じ市場で競合しなければならない状況です。条件面や働き方の魅力を明確に打ち出せない場合、候補者から選ばれにくくなります。 インサイドセールス人材に求められる重要なスキルと適性 人材を採用・確保する前に、「どのようなインサイドセールス人材を探すべきか」を明確にしておくことが重要です。スキル要件が曖昧なまま採用や育成を進めると、ミスマッチや早期離職のリスクが高まります。まずは、インサイドセールスに求められるスキルと適性を整理しておきましょう。 インサイドセールスの必須スキル インサイドセールスの業務で求められるスキルは、大きく分けて3つに整理できます。なかでも土台となるのがヒアリング力です。見込み顧客の課題やニーズを引き出すには、単なる質問のやり取りにとどまらず、状況や問題点を整理しながら対話を深めることが欠かせません。SPIN話法のように、段階的に質問を組み立て、潜在的なニーズまで掘り下げられるかが重要です。 情報収集力も成果に直結します。顧客企業のIR情報や業界動向を事前に把握し、仮説を持ったうえでアプローチすることで、会話の質は大きく変わります。準備の精度が、そのまま商談化率に影響する領域です。 さらに、データ分析力も欠かせません。CRMやSFAに蓄積されたデータから傾向を読み取り、次のアクションに反映できるかどうかで、成果の再現性が変わります。継続的に改善できる営業体制をつくるうえでも重要なスキルです。 インサイドセールスに求められる適性 スキルに加えて、行動特性や思考パターンも成果に大きく影響します。インサイドセールスは短期的に結果が出る業務ではなく、見込み顧客との関係構築を積み重ねることが前提です。そのため、すぐに成果が出なくても取り組み続けられる粘り強さが求められます。 また、限られた情報から仮説を立て、筋道を立てて提案を組み立てる論理的思考も必要な適正です。加えて、架電結果やメールの反応を振り返り、自ら改善を重ねていく姿勢があるかどうかで、成長スピードに差が生まれます。 採用面接では、過去の業務でうまくいかなかった経験と乗り越え方を具体的に確認することで、これらの適性を見極めやすくなるでしょう。 未経験者でも活躍しやすい人材の特徴 インサイドセールスの経験がなくても、隣接する職種の経験を持つ人材は比較的早く戦力化できます。 たとえばカスタマーサポート経験者は、電話やメール対応に慣れており、傾聴力やホスピタリティを活かしやすいです。販売職経験者であれば、顧客のニーズを汲み取る力や提案力を応用できるでしょう。マーケティング経験者の場合は、データ分析やリード管理の知識を持っているため、業務全体の流れを理解しやすい傾向があります。 採用ターゲットを経験者だけに限定すると母集団が狭くなりやすいため、こうした隣接職種まで視野を広げることが、人材確保を現実的に進めるうえで有効です。 インサイドセールスの人材確保方法を比較|メリット・デメリット ここからは、インサイドセールス人材を確保する代表的な6つの方法を分けて整理します。それぞれに強みと制約があるため、単純な優劣ではなく、自社の状況に合わせて選択することが重要です。 方法1:経験者の中途採用 まずは、インサイドセールスの実務経験を持つ人材を中途で採用する方法です。最大の強みは、立ち上がりの早さにあります。業務プロセスやツールに慣れているため、オンボーディングにかかる負担を抑えながら、比較的短期間で成果につなげやすいのが特徴です。 一方で、経験者の母数が限られているため採用競争は激しく、想定通りに採用が進まないケースも少なくありません。条件面でも一定の水準が求められるため、採用にかかる期間の長期化を想定しておきましょう。採用ができれば短期間で成果を出しやすい方法ですが、採用難易度は他の方法と比べて高い傾向があります。 方法2:新卒・第二新卒採用 新卒や第二新卒を採用し、ポテンシャルを前提に育成していく方法は、自社の文化や営業プロセスに合わせてゼロから育てられるため、長期的な組織づくりには適しています。採用コストも比較的抑えやすく、将来的なコア人材を育成できる点が強みです。 ただし、戦力化までには一定の時間がかかります。育成体制が整っていない場合は、教育負荷が大きくなり、期待した成果につながらないリスクもあります。短期成果よりも中長期の組織強化を重視する企業に適した手段です。 方法3:社内異動・配置転換 既存社員をインサイドセールス部門に異動させる方法は、自社の商材や組織を理解している人材を活用できるため、立ち上がりが他の方法よりも比較的スムーズです。採用コストがかからず、最短で人員を確保できる点も大きなメリットです。 しかし、本人の意向や異動元部門との調整が必要なため、必ずしもスムーズに進むとは限りません。また、フィールドセールスとは求められるスキルが異なるため、営業経験があるという理由だけで適性を判断すると、期待した役割を果たせないリスクもあります。短期的に人員を補いたい場合には有効ですが、適性の見極めが難しい方法です。 方法4:未経験者の採用と社内育成 インサイドセールス未経験の人材を採用し、研修やOJTを通じて育成する方法は、採用ターゲットを広げられることから母集団形成の面で有利になります。カスタマーサポートや販売職など、隣接スキルを持つ人材を取り込める点も特徴です。 ただし、育成体制の整備が前提です。カリキュラム設計やOJT体制、評価基準の構築など、仕組みづくりに一定の工数がかかります。社内に育成ノウハウがない場合は、外部研修の活用も視野に入れる必要があるため、中長期で安定した人材供給を実現したい場合に適した方法です。 方法5:BPO・業務委託などの外注 インサイドセールス代行会社やBPOを活用する方法の最大の強みは立ち上げスピードです。自社で採用や育成を行う必要がないため、短期間で稼働を開始できます。専門ノウハウを持つ人材が対応するため、一定の成果を早期に見込みやすい点も特徴です。 一方で、ノウハウが社内に蓄積されにくいという課題があります。外注に依存した状態が続くと、将来的な内製化のハードルが上がる可能性も。費用面でも継続的な投資が必要になるため、長期的なコストバランスを踏まえて判断しなければいけません。短期的に成果を出したい場合に有効な手段です。 方法6:副業・フリーランス人材の活用 副業人材やフリーランスと業務委託契約を結び、必要な範囲で関与してもらう方法は、稼働時間や期間を柔軟に調整できるため、固定費を抑えながら専門スキルを取り入れられます。特定の課題に対してピンポイントでリソースを補える点もメリットです。 ただし、社外人材である以上、情報管理やマネジメントには注意が必要です。顧客情報の取り扱いやアクセス権限の管理、社内メンバーとの連携体制を整えておかないと、業務が属人化するリスクもあります。柔軟性とスピードを重視しつつ、管理体制を整えられる企業に適した方法です。 人材確保方法ごとのコスト・期間・難易度 ここまでに開設した人材確保方法・採用手段を、比較説明として一覧でまとめました。自社に適した手段を判断するための材料にしてみてください。コスト、戦力化までの期間、採用・運用の難易度という3つの観点で違いを把握しておくことで、選択の精度が高まります。 コスト・戦力化期間・難易度の比較 各手法には明確な特徴があります。中途採用は即戦力としての立ち上がりが早い一方で、紹介手数料が年収の一定割合発生し、採用難易度も高くなります。紹介手数料は人材紹介会社によりさまざまですが、30%前後が一般的です。新卒・第二新卒採用は初期コストを抑えやすいものの、戦力化までに一定の育成期間が必要です。 社内異動は採用コストを抑えつつ比較的早く立ち上げられる手段ですが、部門間調整の負荷が発生します。未経験者の育成は母集団を広げられる一方で、教育体制の整備が前提です。 外部リソースに目を向けると、BPOや業務委託は短期間で稼働できる反面、継続的な費用が発生し、ノウハウの内製化が課題に。副業・フリーランス人材は柔軟な活用が可能ですが、マネジメントや情報管理の設計が必要になります。 なお、費用や期間は各サービス・採用手法により変動するため、導入検討時に最新の条件を確認することが重要です。 自社の状況に応じて最適な確保方法を選ぶ 採用・人材確保の手段やもたらされるメリットはそれぞれ異なるため、すべての企業に共通する最適解はありません。確実性を高めるなら、予算と緊急度の2軸で整理して、自社に合ったものを選択しましょう。 1.短期で成果を出したい場合 すぐに商談数や成果を伸ばしたい場合は、中途採用とBPOの併用が有効です。外部リソースで短期的な成果を確保しながら、並行して経験者採用を進めることで、リスクを分散できます。特に立ち上げ初期では、スピードを優先した体制構築が重要になります。 2.コストを抑えつつ人員を確保したい場合 予算に制約がある場合は、社内異動や副業人材の活用が現実的な選択肢といえるでしょう。既存リソースを再配置しつつ、外部の専門人材を部分的に活用することで、コストとスピードのバランスを取りやすくなります。 3.中長期で組織を強化したい場合 時間的な余裕がある場合は、未経験者の採用・育成が有効です。自社に合った人材を育てることで、ノウハウを社内に蓄積でき、長期的な組織力の強化につながります。育成体制の整備は必要ですが、持続的な成長を目指す企業に適した方法です。 よくある質問(FAQ) インサイドセールスの人材確保では、採用条件や育成期間、外部活用の判断など、実務で迷いやすいポイントが多くあります。ここでは、現場でよくある疑問を整理し、判断の目安を示します。 Q1. インサイドセールス経験者の採用で適切な年収水準はどのくらいですか? 年収水準は経験年数やスキル、担当領域によって大きく変わりますが、一般的にはメンバークラスで数百万円台前半〜中盤、リーダーやマネージャークラスではそれ以上の水準が提示されるケースが多く見られます。[1]特にSaaSやエンタープライズ領域の経験者は高い評価を受けやすいため、自社の給与テーブルと市場動向を踏まえた条件設計が重要になります。 Q2. 未経験者がインサイドセールスとして戦力化するまでにどのくらいかかりますか? 戦力化までの期間は一概には言えませんが、基本的な業務を自走できるようになるまでには一定の育成期間が必要になります。カスタマーサポートや販売職などの隣接経験がある場合は立ち上がりが早くなる傾向がありますが、いずれにしても育成カリキュラムやOJT体制の整備が進捗に大きく影響します。入社後の到達目標を段階的に設定し、習熟度を確認しながら進めることが有効です。 Q3. BPOと自社採用はどちらを先に検討すべきですか? BPOと自社採用のどちらを優先するかは、事業のフェーズや緊急度によって異なります。短期的に商談数を増やしたい場合や、社内に育成ノウハウがない場合は、外部リソースの活用から始める方法が現実的です。一方で、中長期的に組織力を高めたい場合は、外部活用と並行して採用・育成を進める体制が有効になります。外部で得た知見を社内に取り込み、段階的に内製化していく視点が重要です。 Q4. 社内異動でインサイドセールス担当者を確保する際の注意点は? 社内異動を進める際は、本人の意向を丁寧に確認することが前提になります。強制的な配置転換はモチベーション低下や早期離職につながる可能性があります。また、営業経験があることだけを理由に適性を判断するのは避けるべきです。インサイドセールス特有のスキルが求められるため、異動後の研修や立ち上がり支援の設計まで含めて準備しておくことが重要です。 まとめ インサイドセールスの人材確保には、中途採用、新卒・第二新卒採用、社内異動、未経験者の育成、BPO、副業・フリーランス活用といった複数の選択肢があります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、単一の手段に依存するのではなく、自社の状況に応じて組み合わせていく視点が重要です。 特に、経験者採用だけに頼るのではなく、求めるスキルと適性を明確にしたうえで、社内外のリソースをどう活用するかを設計することが、人材確保の成否を左右します。確保した人材を早期に戦力化するための育成やオンボーディング、定着につなげる仕組みまで含めて考える必要もあるでしょう。 まずは、自社の予算や緊急度、社内体制を整理し、どの手段から着手するのが現実的かを見極めてみてください。少しの進捗でも適切な打ち手を選ぶことで、インサイドセールス人材を採用する難しさはコントロール可能な課題に変わっていきます。 インサイドセールスの人材確保を加速させる、外部プロ人材の活用法インサイドセールスの人材確保には、採用戦略の設計・育成体制の構築・KPI運用と、幅広い専門知識が求められます。一方で「立ち上げ経験者が社内にいない」「育成カリキュラムを設計できる人材がいない」という壁にぶつかる企業は少なくありません。こうした課題に対しては、IS組織の構築・育成実績を持つプロ人材を外部から迎える選択肢があります。採用要件の定義、育成プログラム設計、KPI運用改善まで、社内にないノウハウを持ち込みながら、社内メンバーへの知見移転を同時に進められます。週1〜2日の稼働や3か月単位のスポットから始められるため、フルタイム採用に比べて導入のハードルは低く抑えられます。インサイドセールス組織の構築を、マイナビProfessionalが支援します「IS経験者の採用が進まない」「育成体制を整えたいが社内にノウハウがない」——本記事で扱ったこうした課題に対して、マイナビProfessionalは営業組織の構築・強化に精通したプロ人材を紹介しています。6万人超のプロ人材データベースから、インサイドセールスの立ち上げ・組織設計・人材育成の実績を持つ人材を選定し、最短3週間で協働を開始できます。マイナビの専任チーム2名(企業担当・人材担当)が課題整理から人材選定、プロジェクト進行まで伴走するため、「何から始めればよいかわからない」段階からでもご相談いただけます。1名から、最短3か月から契約可能です。まずは育成カリキュラムの設計や採用要件の整理など、特定のテーマに絞った活用から始めてみてはいかがでしょうか。初期費用・着手金は0円、月額費用のみのシンプルな料金体系です。参考文献・出典 [1]株式会社ジェイ エイ シー リクルートメント「インサイドセールスの転職事情|平均年収や求められるスキル経験などを解説」 https://www.jac-recruitment.jp/market/sales/inside-sales/?utm_source=chatgpt.com