「採用しても人が来ない」「業務委託で本当に解消できるのか?」という人手不足の悩みを抱えていませんか?帝国データバンクの調査によると、正社員不足を感じる企業は51.6%(2025年10月時点)に達し、建設・情報サービスなど8業種で6割を超えました。少子高齢化による労働人口の減少という構造的な課題があるなかで、従来型の採用活動だけで人手不足を解消するのは難しくなっています。結論として、人手不足は原因を特定する5つの方向性で対策を打つ自社に合う組み合わせを実行するという手順で解消できます。本記事では、人手不足の原因の整理から5つの解消方法、コスト×効果の比較、企業の成功事例、自社に合う選び方までを順に解説します。本記事でわかること人手不足を引き起こす外部要因と内部要因の整理人手不足を解消する5つの方法と現状チェックポイント各解決策のコスト・難易度・効果スピードの比較人手不足の解消に成功した企業の事例と、自社に合う選び方人手不足が起きる3つの外部要因人手不足の原因は、企業の努力だけでは変えられない「外部要因」と、自社の取り組みで改善できる「内部要因」に分けられます。人手不足という課題に向き合うとき、少子高齢化や労働人口の減少といった「外部要因」に意識が向きがちです。しかし、これら社会全体の変化を嘆いても、状況が好転するわけではありません。 大切なのは厳しい外部環境を正しく捉えたうえで、自社の取り組み次第で改善できる「内部要因」に目を向けることです。実際に、この環境下でも採用の工夫や職場環境の改善によって成果を上げている企業は存在します。 市場の動向を把握したうえで、自社がコントロールできる領域にエネルギーを注ぐこと。それが人材不足という課題を解決する第一歩になります。 外部要因1:少子高齢化と労働人口の減少 人手不足の根本的な外部要因は、少子高齢化による生産年齢人口(15歳~64歳)の減少です。 日本の生産年齢人口は1995年にピークを迎えた後、減少に転じています。2025年9月1日現在(確定値)では7348万3000人となり、前年同月より19万6000人減少しました。[2] 労働市場そのものが縮小しているため、企業間の人材獲得競争は年々激しさを増しています。 この傾向は今後も続くと見込まれており、日本の労働市場は構造的な変化の局面にあるといえます。 外部要因2:スキルのミスマッチと労働価値観の変化 現代の労働市場ではテクノロジーの進化と働き手の意識変化が同時に進み、その結果、企業と求職者の間に構造的な「ズレ」が生じています。 近年はIT技術の急速な進展により、AIなどの先端技術を使いこなせる高度な専門人材への需要が急速に高まっています。一方で、従来のスキルのままでは対応できない層も増えており、この「スキルのミスマッチ」が人材不足をさらに深刻化させています。企業には即戦力を探すだけでなく、入社後のリスキリング支援や柔軟な人材活用が求められています。 また若年層を中心に仕事に対する価値観も変化。求職者は給与や安定性だけでなく、ワークライフバランスやスキルアップの機会、企業の理念や価値観への共感といった要素を重視する傾向があります。 こうした価値観の変化を正しく捉え自社の環境を見直していくことが、採用成功の重要なポイントになります。 外部要因3:業界・職種間における人材の「偏り」 人材不足の深刻度は、業界や職種によって大きく異なります。 厚生労働省の「労働経済動向調査(令和7年11月)」によると、正社員の過不足感を示すD.I.(Diffusion Index)は調査産業合計で「+49ポイント」と不足傾向にあります。 特に建設業(63ポイント)、運輸業・郵便業(60ポイント)、医療・福祉(58ポイント)では、人手不足感が非常に強くなっています。[3] 一方、有効求人倍率を見ると職種による偏りも明確です。土木の職業は6.77倍、介護関係職種は3.96倍と高い水準にある一方で、一般事務は0.33倍と人材が余っている状態です。[4] このような職種間のミスマッチも、労働市場全体の人材不足を深刻化させる要因となっています。 人手不足が起きる5つの内部要因外部環境が大きく変化している一方で、社内の仕組みが以前のままになっているケースも少なくありません。 その結果「人が来ない」「定着しない」状況が生まれます。人手不足を考える際は、自社の採用や組織の仕組みも見直すことが重要です。内部要因1:採用力の不足 従来の求人媒体に条件を掲載するだけでは、自社ならではの特徴や働くイメージが伝わりにくいことがあります。求職者の価値観が多様化している現在では、企業の文化や働き方、仕事のやりがいなどを具体的にイメージできるよう情報発信することが、応募につながる重要な要素になっています。 内部要因2:定着の仕組み不足 教育体制が属人的になっていたりも評価基準が分かりにくかったりすると、社員が将来のキャリアを描きにくくなります。定期的な対話や透明性のある評価制度を整えることが、安心して働き続けられる環境づくりにつながります。 内部要因3:働き方の硬直化 フルタイム・出社を前提とした制度では、育児や介護と両立したい人材、副業や複業を希望する人材など、多様な働き手の選択肢から外れてしまう場合があります。働き方の柔軟性を高めることは、人材確保の可能性を広げると同時に社員にとっても安心して働ける環境になります。 内部要因4:育成力の不足 特定の社員に業務が集中している場合や教育が現場任せになっている場合には、人材育成がうまく機能しないことがあります。業務を体系的に学べる仕組みや、スキルを段階的に習得できる教育体制を整えることで、人材の成長を組織全体で支えることができます。 内部要因5:非効率な業務 例えば紙伝票の事務作業や手作業でのデータ入力など、ITツールで効率化できる業務に多くの時間が割かれているケースもあります。業務を整理しデジタルツールを活用することで、社員がより付加価値の高い仕事に集中できる環境をつくることができます。 人手不足を解消する5つの方法外部要因は企業単独では変えられませんが、市場構造を正しく理解すれば自社に合った戦略を立てられます。以下では、人手不足を解消する5つの方法を、現状チェックポイントとあわせて解説します。解決策1:採用力の強化 採用活動が従来の手法に依存していると求職者との接点が限られ、人材確保が難しくなります。求人情報の伝え方や採用チャネルを見直し、幅広い人材層へアプローチすることが重要です。 <現状のチェックポイント>求人票が条件の羅列になっており、入社後の活躍イメージを提示できていない 従来型の求人広告に依存し、特定のターゲット層にしかリーチできていない 選考ステップが多く、内定までに時間がかかっている <具体的な解決策>採用ブランディングの推進 単に条件提示だけでなく、企業理念や社風、社員の声などをSNSや動画で発信し、入社後の働き方や企業の魅力を具体的に伝えることが重要です。 多様な採用チャネルの活用 求人広告だけでなく、社員紹介(リファラル採用)やダイレクトリクルーティングなど複数の採用手法を活用します。社員を介した採用は企業理解が深まりやすく、価値観のミスマッチを防ぐことにもつながります。 採用ターゲット拡大の推進 シニア人材や外国人材、育児・介護中の人材など、これまで対象外としていた層にも採用の対象を広げます。定年退職者の再雇用は即戦力確保だけでなく、若手への技術継承にも役立ちます。 【関連記事】「ダイレクトリクルーティングの始め方|メリット・手法・費用を徹底解説」解決策2:定着率の向上 人材不足の背景には、採用後の定着率の低さが影響している場合もあります。働きやすい職場環境を整え、社員が安心して働き続けられる組織づくりが重要です。 <現状チェックポイント>新入社員向けのオンボーディングが不十分 評価基準が不透明で、昇進の道筋が見えない 部署間の連携や社内コミュニケーションが不足している <具体的な解決策> 1on1ミーティングの導入 定期的な1on1ミーティングを実施し、業務状況だけでなくキャリアの悩みや職場環境への不満を把握します。上司との対話機会を増やすことで、社員の安心感や組織への信頼を高めることができます。 従業員満足度調査の活用 アンケートや面談を通じて職場への不満や課題を可視化します。感覚的な判断ではなくデータを基に課題を特定し、設備改善や業務フロー見直しなど具体的な対策を進めます。 評価制度とキャリアパスの明確化 評価基準や昇進の仕組みを明確にし、社員が将来のキャリアを描ける環境を整えます。成長の方向性が見えることで仕事への納得感が高まり、長期的な定着につながります。解決策3:柔軟な働き方の推進 働き方が固定化していると、採用できる人材層が限定されてしまいます。勤務時間や働く場所の柔軟性を高めることで、これまで働くことが難しかった人材の活用が可能になります。 <現状チェックポイント>• フルタイム・出社前提の働き方が固定化している • 育児や介護による離職を防げていない • 働く場所や時間の制約により採用の幅が狭い <具体的な解決策>多様な勤務形態の導入 リモートワークやフレックスタイム制度を導入し、働く場所や時間の選択肢を広げます。通勤が難しい人材や遠方に住む人材など、これまで採用が難しかった層にもアプローチできます。 ライフステージ対応制度の整備 短時間正社員制度や復職支援制度などを整備し、育児や介護などのライフイベントがあっても働き続けられる環境を整えます。安心してキャリアを継続できる仕組みが離職防止につながります。 ジョブシェアリングの導入 一人分の業務を複数人で分担する仕組みを導入することで、短時間勤務の人材でも業務に参加できる体制を整えます。多様な人材を受け入れることで組織の柔軟性も高まります。 解決策4:人材育成の強化 人材不足は人数だけでなく、必要なスキルを持つ人材が不足している場合にも発生します。教育制度を整備し、社員のスキル向上を継続的に支援することが重要です。 <現状チェックポイント>教育が現場任せで仕組み化されていない 特定の社員に業務が集中している 新しいスキルを学ぶ機会が少ない <具体的な解決策>体系的な育成プログラムの整備 OJTだけでなく研修や講座などのOff-JTを組み合わせ、段階的にスキルを習得できる教育体制を整えます。体系的な育成プログラムを設けることで、社員の成長を継続的に支援できます。 多能工化の推進 複数の業務を担当できる人材を育成し、業務の属人化を防ぎます。社員同士が業務を補完できる体制を整えることで、急な欠員や繁忙期にも柔軟に対応できる組織になります。 リスキリング支援の強化 ITスキルやデータ活用など新しい能力の習得を支援し、社員が変化するビジネス環境に対応できるようにします。継続的なスキル更新が組織全体の生産性向上につながります。 【関連記事】「リスキリングとは?変化に強い組織づくりに欠かせない、基本の考えと推進のポイント」解決策5:業務効率化と外部リソースの活用 人材不足の企業では、限られた人員で業務を効率的に進める仕組みづくりが必要です。ITツールや外部サービスを活用することで、社員がコア業務に集中できる環境を整えることができます。 <現状チェックポイント>紙ベースの業務などアナログ作業が多い 会議や調整業務に時間が取られている すべての業務を自社で対応し、負担が増えている <具体的な解決策>業務DXの推進 RPAやAIなどのツールを活用し、データ入力や定型業務を自動化します。単純作業にかかる時間を削減することで、社員が顧客対応や企画など付加価値の高い業務に集中できるようになります。 アウトソーシングの活用 人事労務や経理などのバックオフィス業務を外部へ委託し、社内の負担を軽減。専門業者の知見を活用することで、業務の効率化と品質向上を同時に進めることができます。 採用業務の外部委託(RPO)の活用 採用業務の一部を外部の専門会社に委託することで、社内の負担を軽減できます。母集団形成や候補者対応などの業務を外部に任せることで社内担当者は面接や採用判断など、重要な業務に集中できるようになります。 特に、専門性と実行力を持つ外部人材を業務委託で活用すれば、採用・育成のコストを抑えながら短期間で即戦力を確保できます。サービスの選び方は「業務委託おすすめサービス15選」「外部人材サービス比較12選」もあわせてご覧ください。業務委託でプロ人材を活用したい方へマイナビProfessionalなら最短3週間・1名から、課題整理から人材選定まで伴走支援します。コスト・効果で比較|自社に合う解消方法の選び方人手不足への対策は、施策によって必要なコストや効果が現れるまでの期間が異なります。主な方法を「効果が現れるまでの期間」と「コスト」で整理すると、次のようになります。方法効果の早さ/コスト特徴外部リソースの活用(RPO・派遣・アウトソーシング)短期/中〜高数週間〜数ヶ月で負荷軽減。継続コストに注意業務効率化・DX推進比較的短期/中定型業務の自動化で負担軽減・生産性向上定着率の向上(1on1・評価制度)中長期/低低コストで開始でき離職を抑制採用力の強化(ブランディング・広報)中長期/中応募増とマッチ度の高い採用につながる柔軟な働き方・組織改革中長期/低〜中浸透に時間。長期の人材確保基盤になる選び方の基本は「緊急度」と「予算」の2軸です。今すぐ現場を回したい場合は外部リソースの活用や業務効率化、腰を据えて組織を強くしたい場合は採用・定着・働き方改革を選びます。多くの企業は両者を併用し、短期で負担を下げながら中長期施策を進めています。【関連記事】「業務委託のメリット・デメリット10選|企業側が導入前に知るべき注意点を解説」人手不足の解消に成功した企業の事例ここでは、人手不足の解消に成功した企業の取り組みを3つのパターンで紹介します。中小企業庁の「人手不足対応事例集」など公的資料でも、次のような型に再現性があることが示されています。事例1:シニア人材を短時間シフトで活用し、季節的な業務の波を吸収季節によって業務量の差が大きい製造業の企業では、フルタイムの増員が難しいという課題がありました。そこで定年退職者を再雇用し、週3日勤務や短時間シフトで働ける制度を整備。繁忙期の人手を確保しながら、ベテランから若手への技術継承も同時に進められるようになりました。事例2:ノンコア業務を外部委託し、社員をコア業務に集中経理入力・書類作成・データ集計といったノンコア業務に時間を奪われていた企業では、これらの定型業務を外部の専門事業者へ委託しました。社員が顧客対応や企画など付加価値の高い業務に集中できるようになり、実質的な人員増と同じ効果を得られています。事例3:DX・自動化で定型作業を削減し、少人数でも回る体制へ紙ベースの作業や手入力が多かった企業では、RPAや生成AIで定型作業を自動化しました。まず一つの業務から小さく始めて成功体験を積み重ね、社内のDXへの抵抗感を減らしながら段階的に範囲を拡大。限られた人員でも業務が回る体制づくりにつながりました。いずれの事例も、自社の制約(業務量の波・ノンコア業務の多さ・アナログ作業)を見極め、最も効果が出る方法から着手している点が共通しています。よくある質問(FAQ) Q1. 人材不足と人手不足の違いは何ですか? 「人手不足」は単純な人数の不足を指しますが、「人材不足」は企業の成長に必要なスキルや経験を持つ層が欠けている状態を指します。本記事では、単なる数合わせではない「質の不足」までを含めた解決策を提示しています。 Q2. 最も即効性のある解決策はどれですか? 最短で効果を出すなら、外部リソース(アウトソーシングやフリーランス)の活用が有効です。数週間で現場の負荷を軽減できます。ただし永続的なコスト増を避けるため、中長期的にはDX推進や内製化による生産性向上とセットで検討するのが望ましいです。 Q3. 中小企業が活用できる公的支援はありますか? 「人材確保等支援助成金(厚労省)」や「IT導入補助金(経産省)」が代表的です。評価制度の整備やツール導入にかかるコストを大幅に抑えられるため、各省庁の最新要件をチェックし、賢く活用することをお勧めします。 Q4. 人材不足が倒産に直結するリスクはありますか? 残念ながら人手不足を原因とした倒産件数は増加傾向にあります。「うちは、まだ大丈夫」という楽観視が、手遅れを招く最大の要因です。破綻のリスクを避けるためには早急な業務の見直しや外部リソースの導入といった「攻めの守り」が必要です。 Q5. 投資余力のない小規模企業でも取り組める対策は? 1on1の実施や業務マニュアルのクラウド化、採用ページの充実など、できるだけコストをかけずに「経営者の意識一つ」で変えられる施策は数多くあります。身近な「仕組み化」を進めるだけでも、現場のストレスは劇的に軽減されます。 Q6. 現場が忙しくて、新しい仕組みやITツールを導入する余裕がありません。 どうすればいいでしょぅか? 「忙しいから変えられない。変えられないから疲弊する」という悪循環を断ち切るには、全体の刷新ではなく「小さな成功の積み重ね」が鍵となります。まずは1日のうち数分でも余裕を生むために、特定のルーチンワーク一つを自動化するなど、最小のコストで効果を実感できるポイントから着手してください。そこで生まれたわずかな余力を次の改善へ投資する「ポジティブなスパイラル」を作ることこそが、組織変革への最も確実なルートです。 まとめ 人手不足は、原因を外部要因と内部要因に分けて特定し、5つの方法(採用・定着・働き方・育成・業務効率化と外部リソース)から自社に合うものを選んで実行することで解消に近づきます。まずは外部リソースの活用や業務効率化で短期の負担を軽減し、その間に採用力の強化や働き方改革といった中長期施策を進めるのが効果を実感しやすい進め方です。本記事の事例や比較表を、自社の打ち手を選ぶ参考にしてください。人手不足の経営課題に、マイナビProfessionalができること「対策が必要なのはわかっているが、社内に推進できる人材がいない」——本記事で取り上げた採用ブランディング、定着率向上、DX推進、業務効率化といった課題の多くは、専門性と実行力を持つ外部のプロ人材を業務委託で活用することで、解決への道筋が見えてきます。マイナビProfessionalは、経営戦略・人事・採用・組織開発・DX推進・営業・マーケティングなど幅広い領域で、6万人超のプロ人材データベースから最適な人材をマッチングするサービスです。企業担当と人材担当の2名体制で伴走し、課題整理から人材選定、プロジェクト推進までを一気通貫で支援します。最短3週間で業務委託契約をスタートでき、1名から・最短3ヶ月から柔軟に契約可能です。「課題が漠然としている段階」でも、まずは情報収集からお気軽にご相談ください。参考文献・出典 [1]人手不足に対する企業の動向調査(2025年10月)帝国データバンク https://www.tdb.co.jp/report/economic/20251117-laborshortage202510 [2]人口推計(2025年(令和7年)9月確定値、2026年(令和8年)2月概算値) (2026年2月20日公表) 総務省統計局https://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.html [3] 労働経済動向調査(令和7年11月)の概況 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2511/dl/4kekkagaiyo.pdf [4] 厚生労働省 一般職業紹介状況(令和7年11月分) https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/001622415.pdf