採用予算の相場は1人あたりいくら? 採用予算を決める際、「いくら用意すればよいのか」「今の予算は高すぎないか」と悩む企業は少なくありません。採用費用は新卒・中途・アルバイトなどの雇用形態だけでなく、企業規模や業種、採用手法によっても変わります。 そのため、全体の平均値だけを見て予算を決めるのではなく、自社の採用計画や過去の実績と照らし合わせて考えることが重要です。この記事では、採用予算の相場から採用コストの内訳、予算の見直し方、稟議に向けた決め方まで、予算策定に必要なポイントを整理します。 採用予算の相場は?1人あたりの採用単価を紹介 採用予算を検討するときは、まず1人を採用するためにかかる「採用単価」を確認しましょう。新卒採用と中途採用では採用活動の進め方や費用のかかり方が異なるため、それぞれの相場を把握することが大切です。 採用費の調査データでは、新卒採用の1人あたりの採用費は56.8万円です。中途採用は、年間の採用費用と採用人数から算出すると約49.6万円が目安となります。ただし、調査年度や対象、算出方法が異なるため、単純に比較するのではなく、それぞれの数値の条件を確認する必要があります。 新卒採用の1人あたりの採用単価 新卒採用では、1人あたりの採用費は56.8万円が目安です。1社あたりの採用費総額は平均287.0万円、入社予定者1人あたりの採用費は56.8万円となっています。 新卒採用では、求人広告やイベントへの出展だけでなく、採用ツールの制作などにも費用がかかります。採用人数や募集方法、採用活動の内容によって必要な費用は変わるため、56.8万円はあくまで相場を考える際の参考値として捉えましょう。 なお、この数値は2024年卒を対象とした調査に基づいています。現在の採用予算を検討する際は、最新の採用環境や自社の採用実績もあわせて確認することが重要です。[1] 中途採用の1人あたりの採用単価 中途採用では、1人あたりの採用単価は約49.6万円が目安です。マイナビ「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」では、2025年の中途採用費用は1社あたり平均609.9万円、実際の採用人数は平均12.3人となっています。 年間の採用費用609.9万円を実際の採用人数12.3人で割ると、1人あたりの採用単価は約49.6万円です。ただし、この金額は調査で直接示された採用単価ではなく、採用費用と採用人数から算出した目安です。 また、同調査では2025年の採用目標人数は平均16.7人となっています。実際の採用人数だけでなく、目標人数も踏まえて予算を考えることで、必要な採用費用をより現実的に見積もれます。[2] アルバイト採用の採用費用 アルバイト採用の採用単価 アルバイト採用における1人あたりの採用単価は、平均5万円〜7万円前後が一般的な相場です。新卒や中途採用と比較すると単価は低いものの、深刻な人手不足を背景に、こちらも上昇傾向にあります。 採用コストは業種によって大きく異なり、地域差も顕著で、東京都や大阪府などの都市部では採用競争の激化により、1人あたり10万円以上のコストがかかるケースも見られます。また、需要の増加に伴い、アルバイト人材を確保する難易度は依然として高い状況です。 予算を策定する際は、求人広告費などの外部コストだけでなく、応募者対応や面接にかかる人的な内部コストも含めて算出することが、効率的な採用活動の第一歩となります。[3] 企業規模・業種によって採用予算の相場はどう変わる? 採用予算は、企業規模や業種によっても異なります。自社の採用予算が適切か判断するときは、全体の平均だけでなく、自社と近い条件の企業と比較することが重要です。 新卒採用の企業規模・業種別の採用単価 新卒採用では、企業規模や業種によって1人あたりの採用費に差があります。マイナビ「2024年卒企業新卒内定状況調査」では、上場・非上場、製造・非製造で次のような違いが見られます。[1]区分 1人あたりの採用費 上場企業 49.0万円 非上場企業 57.5万円 製造業 67.7万円 非製造業 50.5万円 企業規模では、上場企業より非上場企業のほうが1人あたりの採用費が高くなっています。また、業種では非製造業より製造業のほうが高い水準です。同じ新卒採用でも、企業規模や業種によって採用単価には差があります。自社の予算を検討するときは、全体平均だけでなく、企業規模や業種が近い区分の数字も参考にしましょう。中途採用の企業規模・業種別の採用費用中途採用では、企業規模や業種によって1社あたりの年間採用費用に大きな差があります。2024年の実績は次のとおりです。[4]従業員規模 年間採用費用 3~50名 119.3万円 51~300名 247.3万円 301~1,000名 564.9万円 1,001名以上 1,461.9万円 業種別では、次のような差があります。[5]業種 年間採用費用 運輸・交通・物流・倉庫 1,459.6万円 メーカー 853.8万円 流通・小売・フードサービス 303.8万円 中途採用の年間採用費用は、企業規模や業種によって大きく異なります。自社の採用予算を検討する際は、採用人数や採用手法も踏まえながら、条件の近い企業のデータと比較しましょう。 採用単価の計算方法は?採用予算の内訳も確認 採用予算を検討するときは、年間の総額だけでなく、1人あたりにかかる採用単価も確認しましょう。採用単価を把握すると、自社の採用コストが相場と比べて高いのか、どの費用を見直すべきなのかを判断しやすくなります。 採用単価の計算式 採用単価は、採用活動にかかった総コストを採用人数で割って算出します。 採用単価=(外部コスト+内部コスト)÷採用人数 例えば、外部コストが400万円、内部コストが100万円で10人を採用した場合、採用単価は50万円です。採用手法ごとの費用対効果を確認する場合は、チャネルごとに費用と採用人数を分けて計算します。チャネル別の採用単価を比較すると、どの採用手法に予算を配分するべきか判断しやすくなります。 外部コストに含まれる主な採用費用 外部コストとは、求人媒体や人材紹介会社など、社外のサービスに支払う費用です。主な項目には、求人広告費、人材紹介手数料、ダイレクトリクルーティングの利用料、会社説明会の出展料、採用サイトやパンフレットの制作費などがあります。 内部コストに含まれる主な採用費用 内部コストとは、採用担当者や面接官など、社内で採用活動にかける人件費をはじめとした費用です。採用担当者や面接官の人件費、応募者の交通費、リファラル採用のインセンティブ、内定者フォローなどにかかる費用が含まれます。外部コストだけでなく内部コストも含めて採用費用を把握することで、自社の採用単価をより正確に算出できます。 採用予算を抑えるには?採用コストを見直す5つの方法 採用予算を見直すときは、単に費用の安い手法へ切り替えるのではなく、採用成果とのバランスを確認することが重要です。ここでは、外部コストの削減や採用業務の効率化につながる5つの方法を紹介します。 方法1:リファラル採用を活用する リファラル採用は、社員から友人や知人を紹介してもらう採用手法です。求人媒体や人材紹介会社を介さないため、外部コストを抑えやすい点が特徴です。 一方で、採用人数を安定して確保できるとは限りません。ほかの採用手法と組み合わせ、採用チャネルの一つとして活用するとよいでしょう。 方法2:ダイレクトリクルーティングを活用する ダイレクトリクルーティングは、企業から候補者へ直接アプローチする採用手法です。人材紹介会社を介さずに候補者へアプローチできるため、採用人数によっては1人あたりの採用単価を抑えられる場合があります。 ただし、候補者の選定やスカウトの送信などに社内工数がかかります。利用料だけでなく、担当者の工数も含めて費用対効果を確認しましょう。 【関連記事】「ダイレクトリクルーティングの始め方|メリット・手法・費用を徹底解説」方法3:採用サイト・オウンドメディアを改善する 採用サイトやオウンドメディアでは、求人媒体だけでは伝えにくい仕事内容や社員の情報、職場の雰囲気などを発信できます。自社への理解を深めてもらうことで、応募後のミスマッチを防ぐことにもつながります。 効果が表れるまでに時間がかかる場合もありますが、継続的に情報を蓄積できるため、長期的な採用活動の基盤として活用できます。 方法4:採用要件を見直す 採用要件が実際の業務内容と合っていないと、応募者が集まりにくくなったり、選考が長期化したりする場合があります。 まずは入社後に担当する業務を整理し、必須条件と歓迎条件を分けましょう。必要な人材像を明確にすることで、母集団形成や選考の効率化につながります。 【関連記事】「外部人材採用のミスマッチを防ぐ|2大原因と要件定義・選び方を解説」方法5:採用代行(RPO)で採用業務を効率化する 採用代行(RPO)は、求人作成や応募者対応、面接の日程調整など、採用業務の一部または全部を外部に委託するサービスです。採用担当者の業務負担を減らし、社内で発生する工数の削減につながる場合があります。 一方で、委託費用が発生するため、単純に採用コストを削減できるとは限りません。採用コストを見直す際は、採用チャネルごとの費用や採用人数も確認しましょう。外部コストだけでなく社内工数も含めて比較することで、自社にとって効率のよい採用手法を判断しやすくなります。 【関連記事】「採用代行(RPO)比較30社|料金相場・メリットデメリット・失敗しない選び方」採用予算の稟議を通すには?予算の決め方とポイント 採用予算は、必要な採用人数や自社の採用実績、採用手法ごとの費用などをもとに組み立てます。複数のマイナビ調査で公表されている採用市場のデータも参考にしながら、予算の根拠を整理していきましょう。 ステップ1:事業計画から必要な採用人数を決める まずは、売上目標や新規事業の立ち上げ、欠員補充などをもとに、必要な採用人数を決めます。「営業3人、ITエンジニア2人」のように職種別まで分解すると、必要な採用手法や予算を具体的に検討しやすくなります。退職による欠員も忘れずに考慮しましょう。2025年に退職者が発生した企業は49.3%です[2]。新規採用だけでなく、退職による補充も含めて採用人数を設定することがポイントです。 ステップ2:自社の採用単価と過去実績を確認する 次に、前年の採用費用と採用人数から、自社の採用単価を算出します。例えば、500万円をかけて10人を採用した場合、採用単価は50万円です。 今回の採用目標が10人なら、まず500万円を基準に予算を試算できます。ただし、採用する職種や人数、採用市場の状況が前年と異なる場合は、その差も考慮して調整しましょう。 ステップ3:採用手法ごとの費用と成果を比較する 採用人数と過去の採用単価を確認したら、求人広告、人材紹介、ダイレクトリクルーティングなど、採用手法ごとに費用と成果を比較します。 2025年の採用につながった企業の割合は、人材紹介66.0%、転職サイト63.3%、ダイレクトリクルーティング62.7%です[2]。こうした実績も参考にしながら、採用単価だけでなく、どのチャネルが採用につながっているかを確認しましょう。 例えば、採用単価が高いチャネルでも採用実績が安定していれば、一定の予算を確保する価値があります。一方、費用をかけても採用につながっていないチャネルは、予算配分を見直す候補になります。 【関連記事】「即戦力採用の手法8つを比較|定義・見極め方・選び方も解説」 ステップ4:採用計画に合わせて予算を調整する 必要人数と採用手法が決まったら、実際の予算額を試算します。採用目標人数をそのまま達成できるケースだけでなく、採用活動が長期化するケースも想定しておくと安心です。 2025年の中途採用では、採用目標人数が平均16.7人であるのに対し、実際の採用人数は平均12.3人です[2]。目標人数と実績に差が生じることも踏まえ、過去の達成状況やチャネルごとの成果を加味して予算を設定しましょう。 ステップ5:相場や前年実績と比較して稟議に示す 最後に、算出した予算を同規模・同業種の採用費用や前年の自社採用単価と比較し、金額の妥当性を確認します。さらに、「なぜこの人数が必要なのか」「なぜこの採用手法に予算を配分するのか」「前年と比べてなぜ予算が増減するのか」を整理しておきましょう。 採用しない場合の影響も、稟議の根拠になります。勤続5年以上の中堅社員の退職が業務や経営にマイナスの影響を与えた企業は68.8%です[2]。採用予算を単なるコストとしてではなく、必要な人材を確保するための投資として説明することも重要です。 採用予算に関するよくある質問|FAQ 採用予算の相場や採用単価、予算の決め方について、記事を振り返りつつ、浮かびがちな疑問に回答します。 Q1. 採用予算の相場はいくらですか? 中途採用は1人あたり約50万円、新卒採用は約57万円が目安です[1][2]。ただし、企業規模や業種、採用手法によって採用費用は変わるため、平均値だけで判断せず、自社に近い条件の相場と比較しましょう。 Q2. 採用予算に含める費用の範囲を教えてください? 求人広告費や人材紹介手数料などの外部コストに加え、採用担当者や面接官の人件費、応募者の交通費などの内部コストも含めます。採用単価を算出するときも、外部コストと内部コストの両方を考慮することが重要です。 Q3. 新卒採用と中途採用では、どちらが高くつきますか? 調査によって結果が異なるため、一概にはいえません。採用する職種や採用人数、企業規模、利用する採用手法などによっても採用単価は変わるため、それぞれの条件に応じて予算を検討する必要があります。 Q4. 採用予算が相場より高い場合、どこから見直すべきですか? まずは採用チャネル別の採用単価と採用実績を確認しましょう。費用だけでなく採用につながった割合も比較し、成果につながりにくい採用手法や過剰なコストがないかを見直します。 Q5. 採用予算の稟議を通すコツはありますか? 同規模・同業種の採用予算の相場や前年の採用実績と比較し、予算の根拠を明確にすることがポイントです。必要な採用人数や採用手法ごとの費用、採用しない場合の影響も示すと、予算の必要性を説明しやすくなります。 まとめ:採用予算の相場を把握し、費用対効果の高い採用活動を採用予算の相場は、中途採用が1人あたり約50万円、新卒採用だと約57万円が目安です[1][2]。ただし、企業規模や業種、採用手法によって採用費用は変わるため、自社に近い条件のデータと比較することが重要です。 自社の採用単価は、外部コストと内部コストを合算し、採用人数で割って算出します。相場より高い場合は、チャネル別の採用単価や採用実績を確認し、リファラル採用やダイレクトリクルーティング、採用代行(RPO)なども含めて予算配分を見直しましょう。 予算案を作成するときは、必要な採用人数を決め、採用手法ごとの費用を試算したうえで、相場や過去の実績と比較します。稟議では、予算の根拠だけでなく、採用しない場合の影響も示すことで、必要性を伝えやすくなります。 まずは自社の採用単価を算出し、現在の採用予算が適切か確認するところから始めてみましょう。 採用予算の最適化は、プロ人材の知見を借りるという選択肢採用予算の最適化には、相場の把握だけでなく、自社のチャネル構成を見直し、費用対効果を数字で管理する体制が求められます。しかし、日々の採用実務を回しながら、データの集計や手法の再設計まで手を広げるのは簡単ではありません。社内に採用設計の経験者がいない場合、判断の拠りどころも見つけにくくなります。こうしたときに有効なのが、外部のプロ人材を活用する方法です。採用戦略の立案経験を持つ人材が、チャネルの再設計や予算配分の妥当性を客観的に検証します。伴走を通じて考え方が社内に残るため、次年度以降は自走できる状態を目指せます。まずは予算策定の壁打ち相手として、期間を区切って相談するところから始められます。 【関連記事】「【職種別】業務委託の料金表|単価相場と正社員との総コスト比較」採用予算の設計を支援する「マイナビProfessional」 「採用予算の根拠をどう組み立てればよいか分からない」「コスト削減の打ち手が思いつかない」。こうした悩みは、採用設計の経験値に左右される部分が大きいものです。 マイナビProfessionalは、プロフェッショナルの力を、必要なときに、必要なだけ活用できるサービスです。人事・採用や経営戦略、マーケティングなど幅広い領域で、実務経験を持つ人材とのマッチングを行います。 強みは2つあります。1つは7万人超のプロ人材データベースから、採用設計の実績を持つ人材を探せること。もう1つは、協働を通じてノウハウが社内に蓄積され、内製化につながることです。 採用予算の見直しをお考えでしたら、お気軽にご相談ください。 参考文献・出典 [1]株式会社マイナビ「マイナビ 2024年卒 企業新卒内定状況調査」 https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2023/11/s-kigyonaitei-24-003.pdf [2]株式会社マイナビ「中途採用状況調査 2026年版(2025年実績)」 https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2026/03/tyutosaiyouzyoukyou2026.pdf [3]シェアフル株式会社「【2026年最新版】アルバイトの採用単価はいくら?コストの内訳や削減方法を解説」 https://sharefull.com/content/business/22519/ [4]株式会社bサーチ「一人当たりの採用コスト(採用単価)相場【2026年版】職種別一覧と削減方法」 https://www.bsearch.co.jp/media/recruitment-cost-per-person/ [5]株式会社マイナビ「中途採用状況調査2025年版(2024年実績)」 https://career-research.mynavi.jp/reserch/20250326_93514/